逆さに見ると

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この地図は、いつも見慣れて来た教科書や地図帳とは違って、上下反対、南北反対になっていて、正直言って見づらいのです。これまで、自分の生まれ育った国は、世界の中心で、<孤高の国>のように感じていましたが、実際は、ヨーロッパ社会を中心にしてみますと、日本列島は、極東、東の外れに位置していることを知るのです。

以前、裏日本を中心にした地図を見せてもらったことがあります。県庁所在地の名も、山も川も、上下反対に表記がされてありました。新潟県辺りから、首都圏の位置を思ってみると、日本海側の人たちの<立ち位置>が逆転していて、この人たちが表にいて、首都圏が裏に位置しているのを感じて、思いが新鮮でした。

置かれている位置を逆さにし、立場の違いを認めると、何時もと違ったものが見えてきそうです。これを<発想の逆転>と言っても好いのでしょうか。中国や南北朝鮮やモンゴルから、日本は、こう言った様子で見えるのですね。なんだか邪魔をされているようで、『どいて欲しい!』と感じるのではないかなと思ってしまいました。

「目の上のタンコブ」、ない方が好いのでしょう。私たち日本人は、広い太平洋の海に逃げ出すことができるのですが、これらの国々は、<タンコブ>の日本には、どいて欲しいのかも知れません。この地図を見て、きっと煩わしく思っているのではないかなと感じてしまったのです。

でも、友好関係が築き上げられ、この置かれた位置と距離で、協力したり助け合って行くには、ちょうど好い位置と距離ではないかと思うのです。だから、平安の御代には、遣随使や遣唐使を遣わして、親しく交流していたわけです。時々食べる「インゲン豆」が、中国産の野菜で、僧侶の手で運ばれて、日本の地に植えられて、その僧の名に因んで名付けられ、好んで食べられてきています。豆腐だって、味噌だって、醤油だって、この長い交流の中で運ばれて来た物なのです。

これまでは、見慣れた上が北、下が南の地図で、自分の位置を確認していて、右手に日本があるのだと思ってきました。これを逆転して、自分の住んでいる町のアパートの陽台(ベランダ)に出ると、ほとんど左手のはるか彼方に生まれ故郷があるのだと、改めて感じています。それでも、見る位置や方角によっても感じ方が違うかも知れません。今日は、不思議な感じを持ってしまったようです。