私たちの住む街から、中国版の新幹線に乗って一時間半ほどの所に、昨日は日帰りで出掛けて来ました。麦わら帽子を被り、お祝いを持って、カンカン照りの中でした。こちらでは、赤ちゃんを「宝宝baaobaow)」と呼ぶのです。この「宝宝」を、私の教え子が出産して、祝福の行事をするとのことで、招かれて行ってきました。
お祝いに駆けつけた親族のみなさんが、次々と、この「宝宝」のいる部屋に入って来て、顔を覗き込んではニコニコと誕生を祝しておいででした。『父の兄の・・・』、『祖父の妹の・・・』と紹介されて、親族、家系の繋がりの強さを思いっきり感じさせられました。中国語には、父方の祖父には祖父の名称が、母親の叔母の娘には娘の名称が、それぞれ実に明確な呼び方があるのです。
この親族の間での、<男児>の誕生は、<姓>を継承するのですから、家系を重んじる中国の地方都市で生きて来られた一族にとっては、まさに<宝物>なのです。この「宝宝」が誕生して三十日の<お祝い>でした。ところが、まだ名前が決まっていないのだそうです。私たちの四人の子どもたちは、家内のお腹にいる間から、思案しながら、『ああでもないこうでもない?』と決めたのとは違うのが、興味深かったのです。『「木偏」の付く漢字を入れなければならないのです!』と言っておられ、『付けていただけますか!』と言われたのですが、『お二人が決めるのが一番!』と言って辞退しました。
祝福の宴には、二百人ほどが招かれ、借り切ったレストランの幾つものテーブルを、この「宝宝」と血縁のある両親の父母、祖父母の兄弟姉妹やオジやオバや甥や姪などが一堂に会していたわけです。この、まだ名のない「宝宝」を、家内は『タロウちゃん!』と呼んでいたのです。贈られた真紅の頭巾を被り、同色の嬰児服を身に纏い、首に金のネックレス、手首にも金の腕輪をしていたのです。これが<正装>なのだそうです。
この「タロウちゃん」の成長と健康、ご両親やご親族の祝福を願い、宴の途中でしたが、電車の時間もあって、教え子の弟さんに車で駅まで送ってもらい、車中の人となりました。この行事を、「満月酒」というのです。とても好い一日でした。また少し中国のみなさんの様子を知ることができました。
(写真は、「満月酒」の主役の「宝宝」です)