週初めに、街中から出て、郊外に、家内と出かけてみました。海側ではなく、内陸部、山間地に行ったのです。空気が好いこと、水が綺麗なこと、緑が輝いていたこと、そして人が穏やかなことが印象的でした。自分が、山の中で生まれ、そこで七歳の夏まで過ごしていますので、<故郷回帰>になるでしょうか。
生まれた所は、山と山がせめぎ合った渓谷のようでしたし、育ったのも、沢違いの山村でした。そこに、市内に事務所と山奥の仕事場の他の、もう一つの父の仕事の事務所がありました。晴れてると、兄たちの後を追いかけて、山の中に分け入り、駆け回っていたのです。雨が降ると、家の近くに、大きな倉庫があって、その中で遊びました。
この町の周辺部へは、以前、何時間も何時間も山路をバスに揺られていたのに、高速道路網が拡大してからは、時間的に近くなって便利になって来ているようです。川沿いに鉄道が敷かれてあり、17輌もつないだ電車が汽笛を鳴らしながら走っているのが見えました。長閑(のどか)さが溢れていて、<原風景>を眺めているようでした。
高野辰之の作詞、岡野貞一の作曲の「故郷(ふるさと)」を思い出しました。
1 兎(うさぎ)追いしかの山
小鮒(こぶな)釣りしかの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき故郷(ふるさと)
2 如何(いか)に在(い)ます 父母(ちちはは)
恙(つつが)なしや 友がき
雨に風につけても
思い出(い)ずる故郷
3 志(こころざし)をはたして
いつの日にか帰らん
山は青き故郷
水は清き故郷
山青く、水清き私の故郷は、箱庭のようでしたが、ここは雄大でデンとしていて、やはり大陸的なのです。『ここが、私のふるさとなのです!』と言う方がおいででした。どうも私は都会が苦手な感じがします。『ここに住みたいな!』と言ったら、『また!!!』と言う顔を家内がしていました。ゆく夏休みの数日の出来事でした。
(写真は、”花鳥風月”より、「へちま」です)