.
.
この街の路上で出会う、<飼い犬>が、みんな血統書付きの様な、可愛い犬ばかりです。先日は、丸刈りにした犬が、パーマをかけたご婦人に引かれて散歩していました。暑い夏対策でしょうけど、犬って、毛を刈り込まれて喜ぶのでしょうか。何か犬らしくなくって、その犬も、何やらバツが悪そうに伏し目がちでした。
子どもの頃、父の家で飼っていたのが、<甲斐犬>でした。狩猟に使われる犬で、山の中から都会に連れて来られてしまいました。近所に養鶏所があって、そこから何度も鶏をくわえて帰って来てしまったのです。この犬が通った道に、羽が散乱していました。結局処分してしまったのです。
もう一匹は、秋田犬の雑種で、逞しくて弟が可愛がっていました。子犬時代、近所の子に石を投げられたりした経験があって、防衛本能からか、人を噛むので、この犬も処分せざるをえませんでした。少々悲しいわが家の飼い犬の歴史です。ここはマンションで、高い所は28階もありますが、多くの人が犬を、室内で飼っている様です。土を踏む事の少ない犬って、大丈夫なのでしょうか。毛はふさふさで可愛らしいのですが、ちっとも逞しくなく、番犬にはなりません。
誇り高い犬と飼い主が、自慢げに、少々上向きに歩いているのを見て、こういう時代なんだと感じ入ってしまいます。大体、番犬や狩猟犬、今では救助犬、麻薬探知犬などが、犬の本流なのではないかと思うのです。でも、孤老の愛玩用として、抱いたり、話し掛けたりして、慰めを得ている場合が多いのかも知れません。
我が家で預かっていた子が、犬を買いたがったので、子犬を頂いて来て飼った事ありました。"三日坊主"で、彼は飽きてしまって、世話などしないままでした。この犬も、病死してしまって、それ以来、犬を飼う事はしていません。別れが悲し過ぎますから。
もっと悲しい話がありますが、思い出したくない辛い経験でしたので、本欄では取り上げない事にします。この街で長く生活していて、思い出す限り、私たちが招かれたり、訪ねたりした家では、どこも犬も猫を飼っていないのです。時々、“FaceTime”を見るのですが、犬自慢や猫自慢の方が多く、その写真付きの投稿が目立っています。
(甲斐犬の子犬です)
.