潤滑油

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この街では、「市バス」が、驚くほどの数の路線で、市内を縦横に走行しています。ほとんど路線の運賃が、「一元」で、一区間でも、始発から終点まででも、同一なのです。例外的に「二元」がありますが。それで、私たちの移動のほとんどは、歩きか、この「市バス」を利用しています。

この市バスに乗車するために、日本の“Suica“の様な「バスカード」が何種類かあるのですが、家内は一般的なものを使っていて、10%割引の「0.9元」で乗れます。同一カードで、何人でも利用できるのです。昨日は、「充值chongzhi」と言って、カードが欠費してしまいましたので、最寄りの出張所に、夕方、散歩も兼ねて行って、200元を入金してきました。

何と、そこには70人もの列ができていたのです。忍耐のない私には、この並ぶというのが、極めて難手なのですが、最近はできる様になってきているのです。その列の末尾について、小一時間並び続けて、やっと「充值」をいたしました。「新カード」に変える時期だった様で、その列の意味が分かり、真新しいカードに交換してもらって帰ったのです。

「充值」を終えたので、その業務をして下さった係の方に、『谢谢!』と言ったら、窓越しに、私の顔を見直して、意外な顔をされ、驚いた表情と、嬉しそうな表情を見せて、「不客起bukeqi」と小声で言ってくれました。なかなか、みなさんは『ありがとう!』と言わない様です。ご苦労様と感謝を兼ねての、ご挨拶でした。

あの方も、ちょっと好い気持ちになったでしょうし、私も好い気持ちで帰る事ができたのです。どこの国で、感謝と労いは、《関係の潤滑油》になるに違いありません。言われた自分が気持ちが好くなるのですから、いわんや誰でも、そう言われたら、嬉しいに違いありません。珍しく雨のない一日で、風も心も爽やかにされた夕べでした。

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