秋到来、間もなく冬、そして春が

が.

 秋が巡ってきて、まもなく冬がくるのですが、今春、下野国の国府や薬師寺や国分寺国分尼寺、芭蕉ゆかりの室の八島の史跡に、隣人夫妻に連れ出していただいて、念願を果たすことができたのです。どこを訪ねるか、几帳面な私を友と呼んでくれる隣人は、下調べを余念なくされて、ご自分の運転する車で案内してくださったのです。

 京都や奈良を訪ねて、国史に残される史跡や、当時の人物に関わる史跡に造詣が深く、ご夫人を誘っては、毎年1週間ほどの旅をなされってきている方なのです。近畿圏に疎い自分には、日本史を学び直すようなお話を聞かせてくれるわけです。

 この方が、商工会議所に関わっていた若い頃に、この街を中心に、下野の史跡案内図(大型の壁新聞仕様です)を作られて、私立の小・中学校に配布されておいでです。その貴重な案内図を見せてくださったのです。お手元には、もう一部しか残っていないとかで、頂くことはできませんでした。

 そんな関係で、この地に縁のない私たちを、今春、史跡案内に連れ出してくださったわけです。さらに、この街の大平山の信玄平から南から見渡す眺望は、海に浮かぶ島々のような光景を見られるのです。まさに関東平野が延々と広がる様子を遠謀でき、冬季には富士山までも認めることができて驚かされます。

「戦国時代の頃、関東平定を競い対立した越後の上杉謙信と、小田原の北条氏康は、当時の大中寺住職虎溪和尚(こけいおしょう)の斡旋により、永祿11年(15689月、大中寺において和議を結んだ。そのあと、上杉謙信は太平山に登り、兵馬の訓練を行い太平山上から南の関東平野を見渡し、あまりの広さに目を見張ったという故事から謙信平の地名が生まれたといわれる。(栃木市観光協会)

 そんな広大な関東平野に、太田道灌が築城した城を、1590年に、徳川家康はじぶんのものにし、入城して自分の居城としています。現在は皇居となっている城です。上杉謙信が、狭い越後からやって来て、見渡して驚嘆した関東平野に、江戸幕府の中心を置いた家康ですが、謙信の果たし得なかった天下統一を果たしたことの証が、あの江戸城だったのです。

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 関東平野の南、富士を仰ぎ見られる街で育った自分にとって、ここ栃木に住み始めて、謙信を驚かせた平野の広がりを、同じく謙信平から眺めて、納得がいったのです。以前は、路線を乗り換えて、繋がっていたのを、今では県都・宇都宮から横浜や小田原まで、ほぼ高低差なく、一本で乗り通せるのにも、この平野の広さが実感できて驚かされています。

 京都の都から、国司が遣わされ、日本の各地に置かれた国庁で、朝廷の支配が行われていき、ここ下野国にも、国分寺、国分尼寺、薬師堂などが建てられていきました。その遺跡を案内していただいて、思うことが、この春に多くありました。建られた建物は朽ち果てていますが、国庁や寺院の建造物を支えて、載せた礎石が残されているばかりですが、眺めていると、壮大な建物の様子が目に浮かんでくるようでした。多くの都人がやって来て、地元で任職された役人や職人や工人が、地方行政を果たしていたことになります。

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 「日本三大桜」と言われる名木があります

1.三春滝桜 福島県田村郡三春町大字滝字桜久保 (江戸彼岸桜 紅彼岸桜) 

2.山高神代桜  山梨県北杜市武川町山高 実相寺(江戸彼岸桜)

3.淡墨桜(うすずみざくら) 岐阜県本巣市根尾谷 淡墨公園

 その一つ、岐阜の淡墨桜の「子孫樹」が、栃木県下野市国分寺の「天平の丘公園」の国分尼寺跡に植えられてあります。咲き終わりの頃に、薄く墨色に変色するそうで、薄墨桜と命名されたのだそうです。案内された時には、満開で、まさに桜色でした。散る直前に変色する頃に訪ねられたら、さらに趣があったことでしょう。

 10月も下旬、二、三日前の朝は、霧が街を覆って、その様子を、「モヤって」と言うでしょうか。東の筑波の峰も西の大平山も、北の男体山も全く認めることができませんし、川を挟んだ友人の家も霧の中でした。このところの天候は晴れて、秋晴れが続き栃木です。

 四季折々の山も川も、休止状態になりつつある秋、そろそろ紅葉が始まっているようです。何年か前の週日に、「わたらせ渓谷鉄道(JR両毛線の桐生駅から間藤駅までの第三セクターの鉄道です)の一両編成の電車に乗ってみました。かつては歴史に名高い足尾銅山の銅を運び出した鉱山鉄道で、日本国有鉄道から私鉄になって、今に至っています。この沿線は紅葉が美しいのです。鉄路から渡良瀬川を見下ろし、見上げる山肌は、美しい秋の色でいっぱいなのです。今秋も、また訪ねてみたいものです。

 あの史跡探訪の後、お蕎麦屋さんに隣人夫妻と私たちで行って、蕎麦を一緒に食べました。春の蕎麦だったのですが、秋の蕎麦は新蕎麦で、出流山のお蕎麦屋さんのものは、格別に美味しかったのです。今年も近所のみなさんで、公園の落ち葉掃除の後に、市バスに揺られて行く計画中です。もう秋たけなわの北関東です。

(「わたらせ渓谷鉄道西足利駅の改札口」、ウイキペディアの「日本蕎麦」、「淡墨桜」です)

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