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札幌で入院生活をして、真冬の吹雪がどんなものかを、四月の半ばに経験させられたのですが、因習を感じられない開拓地の雰囲気が、札幌には、いまだに残っているのを感じました。滞在中の街中や、北海道人にお会いしてです。お会いした人たちに、『こちらには元々はどちらからいらっしゃったんですか?』とお聞きしたのですが、病院のリハビリの療法士のお一人が、『岐阜からです!』と答え、父でも先祖でもない、『私一人で学びに来て、ここで仕事を見つけたのです!』と言ってました。
みなさんから、“開けっぴろげさ”をあまり感じなかったのは、寒い冬を過ごして生きてこられたからでしょうか、“沈思黙考”で、静かな方が多かった様です。もちろん人の性格は、気象や地形位置に左右されているばかりではないのですが。ものすごく明るい方もおいででしたし、短期の滞在で感じたことに過ぎません。
6ヶ月検診に行きました帰りに、遠距離バスで、函館に行きました。広さを感じると同時に、家と家との境界線に、塀や垣根がないのが、私たちが住んで来た街との違いでした。『俺の!』という自己主張の強さのない、“拘りのない鷹揚さ”を感じて、いっぺんに北海道贔屓になってしまったのです。
それで”終の棲家(ついのすみか)“は、北海道が好いと思ったのです。そうしましたら、ニセコから来ていた病友が、『嫁の実家が土地をたくさん持ってるから、話して上げるよ!』と、移住の誘いをしてくれたのです。
ある方は、『道南の伊達市は、雪も少なく温かくて住み好いですよ!』と推薦してくれました。それで、バスの窓から、伊達市の街外れの高速道路から街並みを見ていたのです。有珠山(うすざん)の山麓が海に迫る間に、街が広がって、穏やかそうでした。でも札幌にも函館にも、けっこう距離があって、大変かなとも思ったのです。
室蘭出身の男性看護師が、『室蘭は、“やきとり”が名物なんです!』と、どこどこが美味しいと、店まで教えてくれ、故郷自慢をしていました。この“やきとり”は、鶏肉ではなく、“豚のロース肉”と玉葱の串焼きだそうです。どこかで“焼きトン”を食べたことがありますが、きっと、その室蘭名物に真似たものだったかも知れません。
でも、遠いですね。静かに老後を生きるのには、最適かも知れません。青森から、津軽海峡を命懸けで渡った人たちの”開拓者魂“、“不屈の精神”には頭が下がります。「オホーツク文化」への興味も尽きませんから、オホーツクの風に誘われてしまいそうです。
先頃のニュースで、この室蘭と東北の港町、宮古との間に、定期航路が就航したと伝えていました。10時間の所要時間で、室蘭から船内で一泊して宮古港に着くそうです。運転免許証を持たなくなった身には、船やバスや列車がいいですね。ちょっと里心がつき始めているのでしょうか。それにひきかえ家内は、こちらでの生活を満喫しています。
(室蘭港から有珠山の遠望です)
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