添加物のこわさを知って

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 在華13年の間、街中のレストランに、友人や、教会の愛兄姉に、よく招待されました。どこの店も同じで、どの料理も同じ味でした。私は、安くて美味しい、塩味の麺で海鮮の牡蠣、海老、それに豚肉、多種の野菜で塩味の「鹵麺(卤面)ルーミエン」が大好物だったのです。同僚の日本語教師で、しかも同窓の日本語教師が教えてくれた、日本の湯麺(タンメン)に似た中華麺なのです。

 お宅に招かれると、どこも同じで一家のご主人が、台所に立って、鍋ふりをされるのです。何種類もの料理を作っては、食卓に並べてくれるのです。中華料理店と同じ味は、やはり調味料でした。でもその食卓には、交わりの手を延べた愛情が溢れているので、おいしさは違っていたでしょうか。

 街中にある師範学校の旧キャンパスの近くの店が、一番美味しかったのですが、店主が変わってから、ちょっと味が変わってしまいました。最初は2元の値段でした。でも瞬く間に、倍倍倍になってしまいました。でも、思い返すと、あの味も、化学調味料がベースにあったようです。それで、「うまさ」と「危うさ」を知らされたのかもしれません。

 あちらでは、「味精」という名の調味料で、どこの食品売り場でも山高く大袋で売っていました。中国の食堂は、どこも調理場が奥まっていて客が見ることができない構造なのですです。コックさんは、大きなオタマに、大きな丼に入れた化学調味料を付けて、鍋に具材を入れて調理していたようです。

 どれも、同じ化学調味料の味なのです。素材の味は、わずかに、目を楽しませますが、みんな化学調味料のグルタミン酸ナトリュウムの味でした。

 化学調味料が、父の家で食卓に登ってから、小さな瓶に入った調味料が、ほぼ主役になっていました。小皿に醤油差しから醤油を注いぐと、すぐに調味料を振り出して加えるのです。味のないものや、味がきついものも、この調味料は、どんなも料理も「うまい」に変える魔術がかかったように、「うまい」のです。舌の唾液腺が刺激されて、魔術にかけられたように、うまくなってしまうのです。「うまさ」と「こわさ」は、同系列上にありそうです。

 結婚してからのわが家には、この化学調味料はありませんでした。味噌味、醤油味、砂糖、醤油のほかには、わが家の台所にはありませんでした。ところが、味醂、味付酢、チキンパウダー、コンソメなどが出始めてきたのです。栃木に住み始めまあいたら、この街のソースとかがあって、やはりグルタミン酸ナトリュウムの調味料を使って、うまみ成分の添加物で、美味しいのです。

 旨(うま)み、日持ち(➡︎腐敗防止)、増量などをもたらすのが、この添加物なのです。自然素材ではなく、化学の分野で、その飽くことのない研究成果で、作り出されて、化学物質なのです(グルタミン酸ナトリュウム=C₅H₈NO₄Na化学式)。

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 添加物を作り出し、営業で売り、会社に大きく貢献したお父さんが、子どもに、『食べちゃダメ!』と言ったら【ミートボール】は、子どもたちの支持を得て大人気で、「うまい」のです。よその子どもには、食べるように奨励しながら、生産に携わった科学者で営業マンは、自分の子どもと大多数の子どもたちとの間に、はっきりした線を引いのです。その欺瞞、自己矛盾に耐えられなくなって、会社を辞めてしまいます。

 良心が傷んだのでしょう。それで、今度は、添加物の抱えている問題点を指摘して、全国を巡回して真実の啓発運動をする人になったのです。餃子作りも職人も豆腐屋さんも、自分の作った物は食べませんし、家族にも食べさせないのです。添加物を警戒してです。そう子どもを育てた親たちの良心は、どうなっているのでしょうか。「本物志向」、この時代の生き方、食べ方ではないでしょうか。食品の魔術にかけられた現代人は、危なさそうです。「試験管」にた端を発する食品に注意、注意です。

↪︎阿部司著「食品の裏側」東洋経済新聞社刊

(よく食べた「鹵麺(卤面ルーミエン)、ある物資の「化学式図」です)

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