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観戦して面白いと思うスポーツは、アメリカンフットボールです。近代スポーツとして、実にアメリカ的なスポーツなのです。ラグビーは、自分の立ち位置から前方に、ボールを投げられません。ところが、アメフトは、QB(クオーターバック)が、前方に投げる事ができるのです。
自分は、ハンドボールをやっていたことがあって、ちょっと自慢になってしまいますが、ボールを遠投するのが、けっこう好かったのです。投げたボールが、先の方に行くとヒュッと浮くように飛んでいくのです。それは、監督に言われて、毎晩、お風呂の湯を、手首で何百回となくかいた賜物で、スナップが効く投法ができたのです。
それで、大学でアメリカンフットボールをする様に薦められたのです。QBになれば、花形選手になれたかも知れません。やってみたい気持ちはありましたが、中高と、さんざ走ったので、もういいかと言う事で諦めたのです。兄のチームに、Sと言う"名QB"がいましたし、今話題の日大にも、Oという"名QB"がいました。
優勝チームには、必ず有能な"QB"がいるのです。もし、"QB"に機会を与えないなら、勝つ事ができるのです。《投げさせない》ために、タックルをして防ぐ作戦が必要です。今季の関西学院大学のアメフトのQBは有能の様です。彼に、思いの儘プレーさせない事が、勝つため、優勝するための必要条件だったのでしょう。それが、行き過ぎた<反則タックル>をさせてしまったわけです。
選手は、<駒>で、コーチの作戦に従ってプレーをするのです。卑怯で論外な作戦で、日大の選手が加害者になり、関学大のQBが犠牲者になってしまいました。あのタックルを観て、第一に思いに閃いたのは、太平洋戦争末期の「神風特別攻撃機」のアメリカ艦船への攻撃の様子でした。あれは戦争で、追い詰められた日本軍の最終作戦でした。祖国防衛、終戦、終戦後の講和のために、若き命が犠牲者になってしまったのです。
でも、今回のは、平和な時代の"学生スポーツ"です。1950年代に、中学に入った時、私はバスケットボール部に入りました。そこには、予科練帰りや予科練に憧れた、特攻精神の上級生、高校生、大学生、社会人の先輩たちが出入りして、鉄拳をふるっていました。ああ言った精神が、いまだに大学の運動部に受け継がれて、『潰してこい!』と命令するのですね。命じられた二十歳の学生は、なかなか断れないのです。加害者の彼が被害者なのです。
私を指導してくれたアメリカ人起業家の孫が、関東大学リーグに所属する学生チームのアメフト部に、今春入部しています。先日、帰国中に、彼のお父さんの事務所を訪ねた時、『今日は、京都大学との練習試合で出掛けています!』と言っていました。高校時代に陸上部 で活躍していて、大学ではアメフトをしたいと始めたそうです。父や祖父の祖国で誕生したアメフトを、日本の大学でしているのです。
勇気をもって、相手と相手チームに謝罪した宮川泰介選手が、この一件で<潰されない様に!>、そう願う五月の下旬の週の半ばの夕べです。
(NFLの名QBだった「ジョー・モンタナ」です)
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