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ハドソンは、外国で働きたいと、母国で準備をしながら、よく貧しい人を訪問していました。日曜日の夕方、アイルランドの家族を訪問すると、5人の子どもがいて、『妻が死にそうなので、助けてください!』と言うのです。
『どうして、他の人を呼ばないのですか?』と聞くと、『18ペンスを払えないのなら行けない!』と言われ、断わられたそうです。しかし、この若者にはクラウン銀貨一枚しか、所持金がありませんでした。それが彼の持っていた全財産でした。
その時、彼に『あなたはお金を持っているのに、それで彼らを助けようとしていないではないか!』との天来の声を聞くのです。心の苦闘の末、彼は持っていたクラウン銀貨を貧しい家族にささげます。それは彼にとっては、きびしい決断と行為でした。
翌朝、一通の郵便が、彼のもとに届いたのです。その封を開けてみると、そこには半ポンド(クラウン銀貨の4倍)が入っていたではありませんか。彼は後に有名なことばを残します。『弱者を助ける者は、決して乏しくなることはない!』とです。
ずいぶん昔の事ですが、お米が一年ほどの間、なくなると与えられ、またなくなると与えられるという事がありました。また、子どもの進学を考えていた時に、結構高額のお金が送られてきた事がありました。それで息子は、進学することができたのです。
この子は、外国から来て、激しい労働をして働き、祖国に送金をし、自分の家族を養っている人たちを、家に呼んではもてなし、何くれとなく助けていたのです。その中に、日本軍によって父親を殺された、年輩の方がいました。
彼は、帰国後、その感謝を、その子の父親である私にも示してくれました。孤児や寡婦や外国人に、優しい手を伸べる生き方は、素晴らしい事です。《四倍の祝福》があるのです。今日は、この息子の「誕生日」です。
(ヴィクトリア女王(ヤングヘッド)の「クラウン銀貨 」1847年銘)
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