3月14日に、広島県江田島で悲しい事件が起こったことをニュースが報じていました。牡蠣の養殖を学んでいた中国人の研修生が起こした死傷事件です。二人の方が亡くなり、6人の方が負傷しました。このニュースを聞いて、残念でなりません。「3K」と言われる職域に、外国人労働者を雇う機会が多くなってきた日本の企業の経営者は、低賃金労働で、利潤を確保できるだけでいいのでしょうか。
先月、上海から乗り込んだ「蘇州号」に、大勢の若い中国人のみなさんが、渋谷の街で見かけるような服装、ヘヤースタイル、靴の出で立ちで乗っておられました。日本企業への「研修生」のみなさんでした。中国にも日本にも、いわゆる「ブローカー」がいて、日本の会社からも、研修生からも、いろいろな経費の名目で金銭を得ているのです。劣悪な労働条件で働き、報酬も、日本人従業員と比べて低く、様々な経費も天引きされて、月々の手当をもらっています。その手当も、中間搾取があると聞いています。もし、同じ労働条件で働く日本人の給料の額を耳にし、賃金に格差があることを知ったら、誰もが不満に思うのは当然ではないでしょうか。「労働力」と「儲け」だけで、彼らの「心の問題」を聞いていないのです。雇い手には、彼らの心を聞いてあげられる機会を持たなければなりません。
受け入れる側に、外国人の持っている文化、生き方、価値観を学ばないで、ただ、安く働かせて、得しているだけに終わっているのです。こういった現実が、この事件を生んだのだと考えられます。『零細企業だから・・・』という、経営者の言い訳だけでいいのでしょうか。外国人を受け入れている企業としての努力が忘れられているのではないでしょうか。『あいつら、まじめに仕事もしないでサボろうとしてばかりいやがる!』とか、『生活の仕方がなってねえ!』とか言う前に、彼らを知ろうと努力していないのではないでしょうか。『どこでも痰を吐く』、『便所に行っても手を洗わない』、『大声で話をする』とか言って嫌いますが、 日本人と生活の仕方が違うのは当然です。外国人と接触のない島国で育った日本人の方に問題があります。
この事件のニュースを聞いて、先ず第一に、そう思ったのです。『働いてもらって感謝だ!』との思いがない経営者は、何時か事業に失敗するのです。日本人への要求を、外国人のみなさんに要求するのが問題です。こちらの企業でも、「労働争議」が起こるのは、日本方式、日本精神を押し付けて、彼らを理解しないからなのです。これは、日系企業に働き始めた卒業生たちの弁です。台湾に訪問した時に、知っている方が、いつも間にか日本に撤退していました。その理由を、台湾の方に聞きましたら、『彼の《日本精神》が一番の問題で、うまく人間関係を構築できなかったからです!』と言っておられました。台湾と大陸中国とは、さらに違うのです。もちろん犯罪は赦されるものではありませんが、彼の心の動きを思い図ってみて、彼の気持ちがわかるのです。『馬鹿野郎!』は、絶対に言ってはいけません!
(写真は、http://nupi.no-ip.com/shin/tasogare.htmlの「暮れなずむ瀬戸(広島県江田島市)」です)