子どもの頃に、バスに乗るとよく歌っていた歌がありました。三木鶏郎の作詞作曲で、中村メイコが歌っていた、「田舎のバス」です(1955年に流行りました)。
1.田舎のバスは おんぼろ車(ぐるま)
タイヤはつぎだらけ 窓は閉まらない
それでもお客さん 我慢をしているよ
それは私が 美人だから
田舎のバスは おんぼろ車
デコボコ道を ガタゴト走る
(2.3.は省略)
4.田舎のバスは のんきなバスよ
タイヤはパンク エンジン動かない
そのときゃ馬に ひかせて走る
それは私の アイデアよ
田舎のバスは おんぼろ車
デコボコ道を ガタゴト走る
これは、『どんなバスに乗ってもガタゴト走る!』と思われたのですから、バス会社には迷惑な歌でした。それが、いつの間にか、フワフワな乗り心地に代わってきたのです。車の性能が良くなったのと、道路の舗装率が上がり、アスファルトの厚みも増したからなのでしょう。こちらに来たての頃に、市内を走る「公交車」という路線バスに乗ると、真冬はすきま風、夏場はカーテンのホックが外れ、ひどい車は車体の後部が赤く錆びていました。それに車体を支えるスプリングが、揺れを吸収しないで、少しの段差を走っても、頭に『ドン!』と衝撃がきていたのです。よく、故障して道路の真ん中に乗り捨ててありました。ところが瞬く間に、新車が導入されて、今では、運転手さんがギヤー・チェンジをしないですむ「オート・ギア」、ガソリンではない「アルコール燃料」の車に代えられてきているのです。
今日学校が終えて、街中で家内と落合い、行きつけのパン店で、サンドイッチ(中国語は[三明治]と言います)とコーヒーで昼食をしましたが、その帰りに乗った、わが家のそばで始発着するバスが、そういったバスなのです。それに乗って帰って来ました。「長足の進歩」と言うのでしょうか、中国の社会全体が豊かになってきているのが歴然としています。
実は最近、世界の高級車、「ベンツ」に乗せて頂く機会がありました。私の周りにも友人知人にも、このドイツ車を持っている方はいませんでした。ここ中国に来てから、初めての経験をさせていただいています。私は、車を二台も持っていた時期がありましたが、それらは何時も「貰い物」か「中古販売店で買ったもの」で、燃費の良い「経済車」でした。それで、われわれの時代は、『何時かクラウンで!』と言われていました。その後、『何時かレクサスで!』になって、今、私は、『今、ベンツで!』を、後部座席で体験しているのです。それも、日本では野球選手や有名芸能人たちの乗る、一番上のクラスの車種の「ベンツ」なのです。まるで雲海の中を走っているようです。初めの頃に持っていた「ダットサン」と比べたら雲泥の差、「月とスッポン」です。普段、徒歩で移動し、路線バスに乗り、たまにタクシーを利用している身ですので、その違いの大きさを体験してるのでしょうか。
そう言えば、この日曜日、忘れ物を取りに家に帰って、戻る時に、タクシーのドアーに右目の下を、しこたまぶっつけてしまいました。今週は、目の下の「青あざ」で出かけています。いくつになっても、「オッチョコチョイ」が直らない私を家内が見て、開いた口のままでいる、25度の春到来の日の夕方であります。
(絵は、http://www.shinrin.co.jp/g20070223_2.htmlから、「田舎のバス」です)