1956年に 窪田聡の作詞・作曲による「かあさんの歌」が発表されています。
母さんは夜なべをして
手ぶくろあんでくれた
こがらし吹いちゃ
つめたかろうて
せっせとあんだだよ
ふるさとのたよりはとどく
いろりのにおいがした
母さんは朝いとつむぐ
一日つむぐ
お父は土間でわらうち仕事
おまえもがんばれよ
ふるさとの冬はさみしい
せめてラジオ聞かせたい
母さんのあかぎれいたい
生みそをすりこむ
ね雪もとけりゃ
もうすぐ春だで
畑が待ってるよ
小川のせせらぎが聞こえる
なつかしさがしみとおる
「凩(こがらし)」とか「囲炉裏(いろり)」とか「土間」が出てきますから、日本の地方の農村を舞台に、子育てをしてくれた、「日本の母」を歌っています。窪田聡は、東京の下町で生まれましたが、戦時中、長野県にあったの父親の実家に「疎開(そかい、gooによりますと、『空襲・火災などによる損害を少なくするため、都市などに集中している住民や建物を地方に分散すること』)」をしたこと、母が家出先に送ってくれた手紙や小包をもらった経験から作詞をしました。歌っていると、絵が見えるような歌で、私も、母や故郷を思い出してしまいます。
私を育ててくれた家でも、お金が無いこともあったのでしょうか、運動会ではく「足袋(たび)」が買えなくて、母が明日の運動会のために、夜遅くまでかけて、手縫いでこしらえてくれたことがありました。結局、鈍足な私は、賞を取ることが、いつものようにできませんでしたが、『参加に意義あり!』の精神は果たすことができたのです。その母が召されて、ちょうど一年になります。時々思い出してしまいます。生きていたら、『お母さん。大陸の片隅で元気に生きていますよ!』と便りをしたいところです。詠み人のいない手紙は書けませんので、ただ懐かしく、母の手を思い出している、「彌生」の末の週日の朝であります。
(マンガは、「毎日新聞」2013年3月17日付の「毎日かあさん」です)