サイン

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 野球は、観るスポーツとして面白いし、しても楽しめます。日本でもアメリカでも、野球タケナワの春です。父のフアン振りは、驚かされました。

 この野球の要は、選手を束ねる監督で、彼は、一つ一つの場面で、<sign(サイン)>を送って指示をするのです。自分だけではなく、ベンチの選手やコーチを通してもする様です。相手に見破られない様に、様々に手を用いてしています。バッターも野手も、その指示に従ってプレイをするのです。

 ですから監督の作戦通りに進行して行くわけです。また、アメリカで行われているアメリカンフットボールは、一人、または複数のアシスタントコーチが、観客席の高いところから、フィールド全体を見て、チーフコーチに、無線で状況を伝えて、作戦を立てる様です。

 それらは、駒を動かす指し手の意思で、歩や金や銀の駒が動く「将棋」に似ています。野球やアメリカンフットボールの選手は、生きて自分の意思を持っているので、時には、見落とすこともあるのでしょう。子育てをしていた頃に、子どもたちが、<サイン>を出していました。母親は、小さなサインを見逃さないで、察知して、臨機応変に対処していて、『すごいな!』と思ったことが何度もありました。

 思春期の子どもも、恋心を感じると、相手に無言のサインを出したりします。大人だって、様々なサインを出していて、特に医者は、そのサインを通して診断を下したりするのです。それは医者ばかりではなく、学校の教師にも、それを読み取るスキルが求められているのです。

 中学の時、グレかけていた私が、様々に服装や歩き方や言葉や振る舞いをしているのを、観察していた担任が、時々、私を呼びつけては注意したり、三者懇談の時に、母親に注意をしてくれました。そのお陰で、思春期の危機に守られたのを思い出します。

 きっと、私の担任は、他の教科を教えている同僚に、『どうですか最近の準は?』などと聞いてくれていたのでしょう。教師全員が、シフトについて、子どもたちを見守っていてくれたのです。昨今、相談に出かけ、言葉でサインを送り、何度も何度もそうしたのに、そのサインを見落としたのか、無視したのか、子どもたちが自死してしまうケースが多くなっているのではないでしょうか。由々しき事態です。

 子どもたちの生活の変化、問題行動のサインを、察知する能力を、親や教師には与えられているのです。職責を果たすために、天が授け与えている能力なのです。アンテナを高くして、その子どもたちのサインを、敏感に感知していただきたいものです。そうしたら、楽しい学校生活を過ごせるのですから。

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