すいとん

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中国で長く生活をして、この数年、驚くことの一つは、高級外国車の多いことです。道路上にも、駐車場にも、ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、AUDI、VOLVO、LEXUSなどが溢れています。自分は、高級車志向がありませんでしたが、ベンツやLEXUSなどに乗せていただくと、乗り心地はすこぶる好いのに驚かされます。何せ、中古の乗らなくなって廃棄寸前の車ばかりに、乗ってきた身には、『こんなにも違うんだ!」と驚かされるからです。

中国のみなさんにとって、豊かになってきた証しのように、高級車を、自分の“ステータス”として、同僚や友人や親戚に誇るための道具になっているのでしょう。日本人も同じですが、見栄っ張りで、面子に拘るので、大枚叩いて、借金までして買ってしまいます。ですから、街中を走る高級外車が、なぜか肩を競い合っている様に見えるのです。

ここ北関東では、圧倒的に軽自動車が多いのです。年配者の運転が多いので、年金生活者には、若かった跳ぶ様な勢いのある時代と違って、『動けば好い!』と競わなくなって、肩を落として走っているのでしょう。

そんな中国で、最近の風刺的な流行語があります。『ベンツの後部座席で泣く方が、自転車の後部座席で笑うよりいい!』です。お嫁に行く女性の心理として、好きな人と自転車に乗せてもらって、にこやかに生活するよりも、辛く冷たい夫婦関係でも、格好の様ベンツの座席、しかも後部座席に泣きながら乗っていた方がいい、と言う、〈物質優先の価値観〉が大道を行くのだそうです。

貧乏人の冷水で、ある人は、立派な門構えの御屋敷の周りを通り過ぎると、決まって、『この家の人たち、幸せなのかしら?』と思ってしまうのだそうです。ユダヤの格言に、「野菜を食べて愛し合うのは、肥えた牛を食べて憎み合うのに勝る!」とあります。

わが家は、今晩は〈すいとん〉です。家内が、退院後初めて、『わたしが作るわ!』と言っています。今朝、私が作った〈野菜スープ〉の残りがタッパーに入れて、冷蔵庫にありますので、それに小麦粉の団子を入れて味噌味でするそうです。牛の細切れも入っていますので、食後、〈憎み合わない〉ことにしましょう。とても美味しかったのです。

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