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『2600人以上の予約患者さんがおいでで、たいへん混雑をしていますので・・・』と、家内が通う獨協医科大学院の掲示板に、通院のたびに、メッセージが出ています。初診の方を入れたら、さらに多くの患者さんが通院されているのです。

この病院は、栃木県下だけではなく、もっと広く地域医療にあたっていて、“ドクターヘリ”が、救急患者さんの輸送に、ひっきりなしに使われるほどです。今日も町医者に行くための外出中に、“ドクヘリ”が、エンジンオンを響かせて上空を飛んでいました。

「医は仁術(じんじゅつ)」と言われて、「医は、人命を救う博愛の道である(広辞苑)」ことを意味する格言。特に江戸時代に盛んに用いられたが、その思想的基盤は平安時代まで遡ることができ、また西洋近代医学を取り入れた後も、長く日本の医療倫理の中心的標語的として用いられてきた。」と“ウイキペディア”にあります。

この「医」という漢字を、「掛け声をかけながら矢を放って、病魔と戦う様。」と、白川静師は、解字されています。入院中も、通院の今も、担当の医師は、レントゲン撮影、尿検査、血液検査の結果を見ながら、家内に聴診器を当てながら、〈矢〉の様にではなく、穏やかに言葉をかけながら、説明し、判断を告げておられます。

担当医は、「講師」の肩書で、大学でも教鞭をとっておられるのでしょう、大変に忙しそうです。このところ目立っているのは、髭剃りがされていないで、診察をしているのです。決して不精ではないのでしょうけど、私の目には、「多忙」ないし「過労」に見えるのです。

3ヶ月の病棟で、入院生活をしていた家内に、ある若い看護婦さんが、『結婚したいのですが、出会いの機会がないのです。私のために・・・』と相談と嘆願をされたのです。仕事を終えて帰宅すると、明日の担当患者さんの看護を考えて準備をしている内に、真夜中になっていて、そのままで寝て、朝を迎えることが多くあるのだそうです。

医療の使命感を持って従事しておいでのみなさんが、「過労」なのが、患者の家族の私にも分かります。厚労省の資料によりますと、担当医の残業時間は、「155時間」だそうです。患者数の増加に、専門医の数が追いつかないのでしょう。それなのに、家内の担当医は、十分な時間をとって、家内に丁寧に診察をされておいでです。

「医師の一言」の重さを知っておられるから、現代医療の従事者は、ずいぶんと優しい物言いをされておいでです。体や心が傷ついている、不安な患者への配慮なのでしょう。かくいう私も、昨日は、開業医の所に行き、血液検査と尿検査をしてきました。4週後の再診だそうです。そこも忙しそうでした。『肩でも・・・』、患者の私が、そんな思いにされているこの頃です。

(友人が撮ってアップされた写真です)
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