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春雨で煙る中、北側のベランダの棚の上で、「水仙(雨中花って言ってもいいでしょうか)」が、咲き誇っています。『これ何の匂いだろう?』、とクンクンしていたら、水仙の花からでした。家の中の小分けした球根に花をつけ、ほのかな香りを放って、気を和らがせてくれています。
今頃、ポルトガルやスペイン、北アフリカにアルジェリアなどの地中海側の海岸でも、中国の長江の河岸でも、日本海側の海岸でも、同じ様に花を開き、同じ香りを放って、咲いている事でしょう。イギリスでは「国花」になっていて、海外に植民地を作り上げた大英帝国とは、その清楚さと、なにか似合わない様に感じてしまうのですが。
とても好い香りを放っていますから、《自己主張》を忘れないところが、水仙っていいですね。
水仙や白き障子のとも移り 芭蕉
水仙やうき世小路の玉すだれ 暁台
水仙や根岸に住んで薄氷 漱石
多くの俳人に愛されて詠まれた花なのです。そこで二句、
水仙や出雲海岸(ははのふるさと)咲きてあり 準
春雨に故国思いし水仙香 準
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