美味しい果物の季節到来.

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 私たちが、過ごした華南の家で、この時季の一番人気は「マンゴウ」でした。小ぶりな物が安く、甘くて香りが好く、南国の香りと味がして、美味しいのです。種類も多く、台湾から輸入された物は高級で最高ですが、もらって食べるくらいです。二番人気は「パパイヤ」、『3つで10元です(1っこ60円ほど)!』と売っていて、檸檬(レモン)を絞って果肉と一緒に食べた味は最高なのです。

 わが家を訪ねてくださった日本からの友人に、これをご馳走しましたら、実に美味しそうに食べていたことがありました。三番人気は「榴liulian/ドリアン」、匂いは強烈ですが、<果物の王様>だけあって、他を凌いでいます。ただ、とても高いので、素通りしていました。四番人気は「マンゴスチン」、これは「果物の女王」と言われるだけあって、冷やして食べたら、ほの甘くて、上品な舌の感触があります。

 果物は、日本では目が飛び出すほど高値ですが、それでも、あちらでは安く買い求められます。スイカ、ぶどう、桃、梨が出回って、何種類もの杏子も、果物屋の店頭に並んでいるのです。国が広いからでしょうか、それに輸入品も出回っていて、果物種類の多さ、同じ果物でも何種類もあって、名称が違っています。果物好きには、天国の様です。

 「サトウキビ」も、収穫したままの太い篠竹の様に、店頭に立てかけてあって、買うと、皮剥き機で剥いてくれたり、絞り機で果汁にして売っています。土が付いたままで売っていますのです、ちょっと買う気にはなりません。郊外の畑に植えられている、周りの様子を見ているので、買う手が引っ込んでしまいます。
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 格子戸で囲まれた小区の入り口の脇にある果物屋に行きますと、『これが美味しいよ!』と勧めてくれましたので、財布と相談しながら買ったり、手を引っ込めたりしていたのです。熱く火照った体に、夏場の果物は、最高です。毎週、水曜日にお邪魔していた家は、いつも果物を用意して出してくれたのです。なんでも美味しいのです。『これ甘くて美味しいですよ!』と、ご夫人が手で渡してくれて、美味しそうに頂いていました。

 彼女は、美味しい果物屋を知っているのです。『何処で買うんですか?』と聞きたくなる言葉を引っ込めています。そんなこと言ったら、買ってきてくれるからです。亜熱帯の地、この街の人たちは、生きることを楽しむのだそうです。それに気前が好くって、人のことを考えていてくれ、実に好い人たちなのです。瑞々しくて美味しい果物の様です。

 こんなことを思い出したのは、昨日散歩帰りに寄った、スーパーマーケットの果物売り場に、マンゴウがたくさん並べられてあったからです。一つ、980円で、メキシコからの輸入品でした。しかも追熟前で、あの甘い香りもしなかったのです。ブレンダーで、牛乳とラカント(羅漢果から取った甘味料)に果肉を入れて、撹拌して頂くと美味しいのですが、手が出ませんでした。

 もうスイカやメロンのシーズンなのでしょうか、たくさん並べられてありました。〈高級果実〉、なんだか今年は値段がとびっきり高いのです。それで、ニュージーランド産のリンゴとオレンジを買ったのです。これからは、梨がでまわり、桃も季(すもも)もイチジクも、店頭に並ぶでしょうか。果物の美味しい季節を感じております。

(「マンゴー」と「イチジク」です)

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