鬱金桜

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 南北に長い私たちの国で、その季節の動きを知らせてくれる楽しい兆は、「桜前線」ではないでしょうか。染井吉野の桜が、江戸の染井村からから全国に広がり、淡い花びら、散りゆく様子に魅せられて、津々浦々に植えられて、日本のどこででも観られます。日本人の大好きな桜に花です。

 この桜は、まもなく津軽海峡を越えそうです。松前あたりが一番早く咲き始めるのでしょうか。きっと五稜郭も、伊達市も札幌も、そして旭川、網走、稚内、北海道全域に咲き広がるのでしょう。南から一日一日と、前線が北上していく知らせが、自転車の運転速度よりも、わずかに遅く行くのでしょう。

 札幌の整形外科医院で手術後のリハビリ中に、札幌の中島公園で咲き始めたとのニュースを聞きました。病院の近くにも、桜の木があって、そこに花がつき始めていたのです。

 この桜ですが、何と八百種もあるのだそうです。それだけ、日本人は、桜の花に魅入られてしまっているのでしょうか。春の到来を感じさせられるからなのでしょうか.一般的に淡色で、パッと咲いて、パッと散っていく潔さを好むからなのかも知れません。

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 最近気になるのが、「鬱金桜(うこんざくら)」です。ソメイヨシノが咲き終わってから咲き始めるのだそうで、江戸以前から、旧荒川(今の隅田川を荒川と呼んでいたそうです)の堤に植えられていた桜で、「淡黄緑色(黄色や黄緑や緑色)」の花を咲かせ、「荒川の五色桜」と呼ばれたようです。〈枝変わり〉と言う成長点での突然変異によって生まれたのだそうです。

 私の生まれ故郷に咲くのが有名なのだそうで、そんなことは知りませんでした。そこには家もなく、知人もいませんので、訪ねることはありませんが、今頃咲くのでしょう。東京の谷中あたり、隅田川沿いの言問(こととい)あたりが名所なのだと言われています。行ってみたいな!

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