Aspergillus

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 天津にいた一年の冬場には、ちょっと誇張かも知れませんが、外に出ると、埃だけではなく、あらゆる物を舞い上げた寒風が吹いていたのだと思われます。驚いたことには、女性が、ストッキングのような、網目の細かい布で顔を覆っていたことでした。道端にはゴミが散乱していて、黄砂風も砂漠地帯から吹いてき、それに中国五千年の間に堆積された埃も舞っていたように感じたのです。

 それが苦手で、華南に移ったのかも知れません。そこは、日本と同じで、65%以上の樹木の緑の割合の多い地だったのです。それでも学校の寮(旧ホテルを利用した古い建物でした)から出て、住み始めたのは、大学の教員住宅でした。アルミサッシではなく、ガタピシの木製の窓で、煉瓦の古建築なので、隙間が多く、歴代の住民の生活の埃も、ネズミのフンも多く、土間もあった家でした。

 木と草と紙で出来た日本住宅の中で育った身には、なかなか馴染めなかったのです。朝になると、家への階段の登り降りの踊り場には、朝になると何匹ものゴキブリがひっくり返っていたのです。衛生管理の徹底までの途上国での生活が長かったのを思い出しています。

 帰国して、五年目を迎え、目下の生活上の心配は、細菌、黴(かび)で、中国から帰ってきてから、とくに気を付けているのです。体調を崩した家内の「アレルギー検査」を、先週、大学病院ではなく、近くの街医者でしていただいたのです。その結果、食べ物のアレルギーは、家内が思い込んでいた小麦、乳製品、海老、蟹などは 全くhit しませんでした。

 hit  したのは、〈house dust 〉、〈ダニ〉、初めて知った〈アスペルギルス(Aspergillus、これはどこにでもあって免疫力低下時に肺の中に取り込まれるのだそうです〉の3つでした。これは、隣国への悪口ではありませんのでご承知ください。外国生活の長さによって、体の中に持ち込まれたさまざまば物質(黴やダニの影響力)によって、過敏症の家内の身体に仕舞い込まれてきたのじゃあないかなって、素人判断ですが、今思い返しているのです。

 それと共に、〈大辛のカレイ(加齢)〉によるものなのかも知れません。今日は、この四年間、今は五年目を診ていただいてる大学病院の三ヶ月ぶりの通院日です。アレルギー検査で見つかった物質って、どんな影響をもたらしてきたのでしょうか。net で調べても、やはり素人判断ですから、専門医に聞くべきなのでしょう。専門知識には長けている現代医学で、総合的な診断が必要なのでしょう。そんなことを、門外漢ながら感じております。

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