隣家のおばあちゃんと、家内の朝イチのベランダでの挨拶を聞いてると、決まって「太陽」が話題になっています。洗濯物を干す主婦にとって、陽の光が、とても大切だからです。それと、お決まりの言い出しは、《太陽の光の多少(晴れるか曇るか雨降りか)》なのです。それに呼応して、おばあちゃんも、『ハロー!』と言って、同じ様に太陽を話題にしているようです。
一般的に、こちらの方の朝の挨拶は、『お早う!』ではありません。これって欧米風の挨拶で、『早上好zaoshanghao!』を言うのは外国人だけなのかも知れません。何と言うかといいますと、『吃饭了没有chifanlemeiyou!』なのです。『ご飯を食べたの、まだなの?』と言ったやり取りをしています。実に、実際的で、生活の匂いが強烈な、中国の大陸的、歴史的な挨拶言葉だと感心します。
今年の「流行語」の一つは、『そだねー!』の他に、「ご飯論法(『朝ご飯は食べましたか?』)」だったそうです。食べたか、食べないかを問われ、『(パンは食べたけど)ご飯は食べてない!』と言い逃れる論法が取り上げられたのです。日本語の「ご飯」は、「米食」を言っているのですが、そこでは「朝食/昼食/夕食」を言ってるのです。これは、国会の答弁で、政府側の「ごまかし」や「すり替え」の答弁への揶揄(やゆ)」があったそうです。
日本語には、「インチキ」と言うことばがあります。これについて、“ 日本語俗語辞典”には、『インチキはもともと博打(ばくち)で不正をして騙すことを意味する賭博仲間の隠語であった。それまでは主にイカサマという言1葉が使われたが、イカサマが変化した『イン』と、“こんこんちき”などに見られる「~的」「~奴(やつ)」といった意味によるインチキが明治以降使われ始めた(ただし、流行したのは昭和に入ってから)。後に博打以外でも不正やごまかし、本物でないことを指してインチキというようになった。』とあります。
中国語では、「作假zuojia」とか「作弊zuobi」と言うのでしょう。どこで手にしたのか分からなかったのですが、実は、「偽札20元」の紙幣をお釣りにもらったことがありました。それに、全く気づかなかった私は、それで買い物をしたところ、『假的jiade!(ニセ札)ですよ!』と言われて突き返されてしまいました。信じられないのですが、そのままニセ札が流通しているのです。仕方なく、他の紙片で支払いをしましたが、〈掴まされた者の負け〉で、引き出しのファイルの中に仕舞い込んであります。
お釣りに偽札をもらったら、多くの人は、どこかで使ってしまうのですが、《偽札使用は厳罰》の日本で育った私は、それができないのです。かといって、銀行で取り替えてはくれません。何か交換の方法がありそうですが、どなたも知らない様です。それででしょうか、こちらでは「100元」より高額な紙幣は、こちらでは作られていません。
「ズル(狡)」とうことばもあります。狡猾(こうかつ)の隠語なのでしょうか、不正手段で何かをすることで、例えば、『彼は、今日はズルをして、学校を休んだ!(ズル休み)』と言って使います。「卑怯(ひきょう)」な人が、することなのです。私の父は、この「卑怯」を嫌った人でした。ですから、時々、自分が騙(だま)されることがあったのです。
同級生が、『お金を貸して欲しい!』と、20年ほど前にやって来たことがありました。私は、人には貸さないことにしているのです。貸した相手が、私の奴隷に成り下がってしまうのが嫌だからです。それで、上げてしまうのです。そんなに仲の良い同級生ではなかったのですが、6年間、同じ学校で学んだよしみで、そうしました。よくしたのは、駅に一緒に行って、目的地までの切符を買って上げて、改札を通るまで見守りました。
彼が恥を忍んで、わざわざ訪ねて来たことに免じてでもあり、返す意志のない借り手であることも見破っても、上げたのです。それ以来、私にお金を借りにくる人はいないのです。インチキな人生を生きることも、狡く生きることもなく、また人に借りることもなく、今日まで、自分が生きてこれたことに、ただ感謝しているのです。でも、「愛」だけは多く借り受けてきました。
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