バス

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こちらに来たばかりの頃に、公共バスが、市内の狭い道路を、急発進、急ハンドル、急ブレーキするのに驚かされました。立っていると、足を踏ん張るだけでは足りず、つり革を強く握るのですが、それでも振り切られそうになって倒れそうでした。その上、よく運転手が、<手机/手機shouji/携帯電話>をかけながら運転していました。さらに、よく故障をして、降ろされて次のバスに乗り換えさせられる事もありました。ちょっとした<戦さ>でした。

その後、道路が整備さて、新型のアルコール燃料のバスが導入され、運転手がシートベルトをして運転する様になってきました。今では携帯の"ながら運転"は見られなくなっています。年配のご婦人が乗ってきて、立っていると、運転手が車を発車させないで、客席にやって来て、お客さんに席を譲る様に交渉している事もあります。また、年寄りが乗ってきて、席を譲られて座るまで、発車しない事もあるのです。

マナーも道路事情も運転も、昔とは比べられないないほどに、好くなっています。ただ、急ブレーキと急ハンドルを使う事は、時々あります。と言うのは、横入りや急停車の車があって、そうせざるを得ないからです。今でも怖いのは、交差点での右折の車が赤信号でもお構いなく曲がってしまう事が日常的にあります。また、支線から本線に入る時に、どの車も一時停車をしないのです。それで、その車が入る事を予測して、本線の車がブレーキを踏んで、そに割り込みに道を譲るのです。

アメリカには、"イールド標識(右折用のレーンがあって停止しないでも前進できるサイン)"がある道路は、停車せずに右折できるのですが、ここではどの交差点も、そのサインがないのに一時停車しないで侵入しています。それでも事故が起きないのが不思議で、暗黙のうちに、自分もするので、相手もすると言った暗黙の了解があるから、事故が起きにくいのでしょう。日本人は、咄嗟の時に、交通法規に従いますので、こちらでの運転は難しいのです。

それでも公共バスは、始発点から終着点まで、ほとんどの区間は、《一元》です。日本に比べて超格安の料金が、この10年以上変わらないでいるのです。バスに乗りますと、ほとんどの時に、若い方が席を譲ってくれます。もう抵抗なく、『ありがとう!』と感謝して座らせてもらうのです。この国の若者の《敬老意識》には、驚かされるほどです。今日も、そのバスに乗って、出掛けようと思っています。この数日、暖かくて木犀(もくせい)の植え込みから芳い香りが匂ってきます。
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