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詐欺師の哲学は、『働かないで(汗をかかないで)楽してお金を手に入れる事!』なのだそうです。私は、『大学には行かせてやる、その後は、自分の手で自分の人生を切り開いて生きていけ!』と父に言われて生き始めました。それは、『自分で汗をかきながら生きよ!』との子を思う父親からの勧めでした。
それで、学校に行ってる頃、鶏のケージ作りの電気溶接、寒風の中で道端の広告塔に糊を塗り大きな紙の貼り付け、手作業でシャベルでの穴掘り、東京駅で開業したばかりの新幹線ホームで帝国ホテルの列車ビュッフェに食材の積み込み作業、大きな貨物船の船底でシャベルで大豆を掬っては大きな布袋に入れる作業、鉄骨をクレーンにかけて移動させる補助作業、牛乳工場の市乳課でビン入りの牛乳瓶の詰まった木箱を冷蔵庫内で積み上げる作業、ポリシャーを回しモップで床を吹きワックス掛けをしたりの清掃、名画家の古典の警備、デパートの盆暮の商品の配送、高級ホテルのボーイ、そんな事をしてきました。その他に、楽そうに思える「頭脳労働」もしたのです。それは楽とは言えないで準備が大変でした。学生を教えたり、人の相談にのったり、様々な仕事をして生きて来ました。
本当に泣きたくなるほど辛いこともありましたが、学生の頃に、『プロよりも好い仕事をしてくれる!』と煽てられ、『ここに就職してくれませんか!」と誘われたりして、いい気持ちにさせられたこともありました。そんな事で《労働の快楽》を教えられ、手ずから働いてこれた事は感謝なことでした。『いい男なのに指が太すぎるね!』と言われたのは《男の勲章》だったのでしょう。
その詐欺師ですが、彼らには<詐欺訓練学校>があるのだそうです。高倉健の映画に出てきた「網走番外地」や「富山刑務所」ではありませんが、そう言った所や少年院が、その学校なのです。収監中に、何を話題に談笑するのかと言うと、<人を騙す術>を、こっそりと練磨するのです。新しい<詐欺技術>を習得して、娑婆(しゃば)に出て、それを実践活用するのです。もちろん、『二度と犯しません!』と変えられる方もいますが、多くの方が累犯(るいはん)で再び犯罪に手を染めるのだそうです。
車の鍵をなくして、スターターの「直結」の方法を、私は独学で習得した事がありました。また、ドアーを針金で開ける技術も身につけたのです。よく困ってる人のドアーを開けてあげた事がありました。電子ロックの車はまだからかった事はありません。悪用すれば犯罪でしたが、人助けだけはしてきました。2年ほど前の夏に、路上で、<換金詐欺>に家内があってしまいました。端で見ていた、その彼の手先の器用さは、天晴れ(あっぱれ)でした。
詐欺って、それほど練達して、巧みなのです。人の親切や優しさに、上手につけ込む技術です。今年の成人式での《晴着詐欺》は、実に卑怯(ひきょう)ですね。騙しのプロが食べる《人を騙したパン》は美味しいのだそうです。どんな味でしょうか。味わってみたいとは思いませんが、善良な人は、《砂を噛むような味》だと思ってしまいますが、悪人は、そんな味覚感覚は持ち合わせてないのです。一度騙して、《冷や汗》をかかせて、ギャフンと言わせてみたいものですね。あっ、『復讐は天に任せよ!』と愛読書にありました。