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野辺見れば なでしこの花 咲きにけり 我が待つ秋は 近づくらしも
この和歌は、「万葉集」の中に納められていて、作者不詳ですが、秋の野辺を眺めていた時に、この「なでしこ」が、可憐に咲いていたのでしょうか。きっと作者は、暑い夏を過ごして、少しは[ホッ!]としたかったに違いありません。
それで秋の到来を待ち望んでいたのですが、ふと目を野辺に向けると、なでしこが咲いているではありませんか。『あっ、もう秋は来ようとしているんだ!』と思わせられたのです。
秋到来は、景観の美しさ、夏前に蒔いた種が実をつけ、やがて収穫の時がやってきます。柿が実り、たわわに葡萄もなり、何よりもお米が借り入れられる季節です。自然に恵まれ、今では、錦繍の秋、芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、そして、スポーツの秋という言うのでしょうか。
それ以上に、昨日は、これからが春本番なのですが、秋に咲き出す「なでしこ」にちなんで、チーム名を「なでしこJAPAN」にした、女子サッカーチームの活躍に驚かされました。アメリカ、オーストラリア、コロンビア、そして日本の参加4チームによる、〈シービリーブスカップ〉の対戦が、カルフォルニアのサンディエゴで開催されました。昨日は、その最終戦で、「なでしこJAPAN」が、アメリカチームと対戦し、2対1のスコアーで勝利したのです。
女子がサッカーをするようなことのなかった時代、サッカー自身がまだメジャーなスポーツでなかった頃、いえスポーツ自身が、今ほど盛んではなかった時代があって、こんなにスポーツ全盛がやってくるとは思いもよりませんでした。
「なでしこ」は、可憐な花の代表の様ですが、昨日の試合を観戦しているかぎり、可憐どころか、実に果敢なのです。あんなに激しく接触するのにも驚かされます。「なでしこ」のキャプテンの熊谷紗希選手は、頭を負傷をし、試合が中断していました。フィールドから出て手当がなされ、終わるとバンテージを巻いて再びチームの試合に合流したのです。結局、2対1でアメリカに勝ち、優勝したのです。
この「なでしこジャパン」の前の世代に、キャプテンを務めた、MF宮間あや選手がいました。小柄ながらも、ファイトに溢れた選手だったのです。所属先は温泉で、その従業員をしながら、サッカーの練習に励み、日本代表の優秀な選手だったのです。2012年に開催された、ロンドンオリンピックでは、決勝まで進み、アメリカとの対戦に敗れて、準優勝したのです。その折、彼女のスポーツマンシップが賞賛されてもいました。同時期に、FW大野忍選手もいました。
今では、十代の若い選手が台頭してきますが、昨日の対アメリカ戦は、バックスの熊谷の他に、MF長谷川唯、FW田中美南、GK山下杏也加、前半戦、長谷川選手からのパスを、FW籾木結花の選手のシュートで最初の得点後半戦、更に後半、唯選手のシュートを拾ったDF古賀塔子選手のゴールで2点目を決めました。そして華やかな攻撃面に関わらないバックス、縁の下の力持ちでチームを支えて、優勝に貢献していました。やはり歴戦の勇者たちの活躍が目立っていました。とくに、長谷川唯選手のボールに食いつく様なプレーには、目を見張るものがあります。
アメリカチームを愕然とさせる様なaggressiveな戦いをしていたのは圧巻でした。でも、アメリカの選手たちは、新人が多く、これからの選手たちですから、巧みな日本選手たちからの学びは大きかったようです。次回の戦いが楽しみです。それにしても日本女性は、強いなあ!
(ウイキペディアのなでしこ、いらあうとやのじょしサッカーです)
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