平和を希求すること

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 『主権と恐れとは神のもの。神はその高き所で平和をつくる。(ヨブ252節)』

 人口推移、出生数、婚姻数など、社会の動きの指数がいくつかありますが、少子化に歯止めが効かなくなって、「少子化対策」が叫ばれ続けていますが、政府には、そのための部署が設けられるほど、重要な政策の様です。でも功は奏さないのかも知れません。

 1937年に、日華事変が起こり、太平洋戦争が起ころうとする頃に、近衛文麿内閣が、「国民精神総動員」を掲げました。それは、「国家のために自己を犠牲にして尽くす国民の精神(滅私奉公との考えです)」を高めて、戦争を推し進め、そして勝戦を目指しての呼びかけでした。

 軍人と国力強化のために、その「結婚十訓」の第十条『産めよ殖せよ国のため!』の呼びかけがありました。確かに出生数は増えたのですが、父親を戦場に取られていては、それは続かず、家族や人口が増えるわけがありませんでした。結局、父親が復員してきてからの baby boom で、団塊の世代が誕生するのです。151619年と、父と母は男の子を得て、立派な兵士となるべく動員したことになります。

 時の政府からも、新聞からも、『欲しがりません勝つまでは!』、『進め一億火の玉!」と言ったslogan が掲げられました。それが良くなかったので、国土は崩壊し、戦に敗れたのです。戦後に生まれた弟を含めて四人の男の子は、戦場に行かずにすんだのです。8000万人の日本は、たくさんのものを失ったわけです。

 戦争後、私たちの父母の世代の勤勉さ、折しも起こった朝鮮戦争でに特需、ヴェトナム戦争での外貨獲得などによって、奇跡的な経済大国に、日本はなったのですが、今また、日本が「強さ」を誇ろうとし始めているのを感じてなりません。

 オリンピックを、危ぶまれる中で開催し、ヒヤヒヤしたのは新型コロナのせいばかりではなく、戦前や戦中に見られた「国威発揚」の声が、だんだん大きくなっていく様に感じてなりません。もう二十年も前でしたが、『あの時代の空気が感じられる!』と言われた、父の世代の方の話が忘れられません。

 その空気の濃度は、もっと強くなっているのを、自分も感じています。『カッ、カッ、カッ!』と、最近、軍靴の靴音が、遠くから聞こえてきています。どんな理由があっても、どんな世論があっても、八十年も《平和》を享受し、を守ってきたことを誇りに、戦争を避ける努力こそが、一番に重要だと思うのです。この困難な時を見極めて、過ちを犯さないことです。《平和》の種を撒き続けたいものです。

(“ キリスト教クリップアート“ との「種まき」です)

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