老病

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 春間近かに「東風(こち)」、夏になると「いなさ」、『秋風が吹く!』と、よく言われ、夏が終わって、肌寒い季節の到来を告げる、風が運んでくる季節の詩的な描写です。もう「小嵐(木枯らしにおなじ)』も吹こうかとしている11月なのですが、暖かな日が続いています。

 季節の変わり目、腰痛が起こりました。中国語に、「老病laobing」という言葉がありますが、〈年寄りの病い〉を言うのではなく、「持病」のことを言っています。道路の角地に教会の建物がありました。その回りにある側溝の掃除が春先になると、自治会でいっせいに行われていました。毎年出ては、近所のみなさんと一緒になって〈どぶさらい〉をしたのです。側溝を跨いで、コンクリートの分厚い蓋を、手で上げた時に腰を痛めてからでしょうか、季節の変わり目に、この老病が出てくるのです。

 高校で、groundや道路をずいぶんと走らされましたので、それもあっての腰痛でしょうか。また夜間の床清掃の仕事を長年しましたので、それも原因かも知れません。世に〈腰痛持ち〉ってけっこう多いのだそうで、〈季節の変わり目に〉が惹き起こさせるのです。

 立っていられないような時もありましたが、今は軽症、と言うよりは、やって来そうな時期になると、娘の買ってくれた《腰band 》を、箪笥の底から出して、巻くのです。今季は、家内の勧めで新手の対策をしています。。「ホッカイロ」を腹巻につけましたので、温められるので具合がいいのです。今冬は、酷くならないと信じております。


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 腹巻と言えば、映画の見過ぎでしょうか、六尺のサラシの白布を腰だかお腹だかに巻いていた時期があります。コツが必要なのでしょうか、慣れないもので、上手に巻けないのです。太っていませんでしたから、いつもづれ落ちいるうちに、しなくなってしまいました。

 一緒に働いた方の家を訪ねた時、腰痛に苦しんでいる友を見て、その酷さに驚かされたことがあります。私を迎えるために、玄関に這って出て来られたのです。若い頃に、「碍子(がいし)」の会社で、重い物を運んでいて腰を痛めたそうで、それで会社を辞めておいででしたが、四十過ぎても、まだ腰痛に苦しんでおいででした。電気の送電線の鉄塔に、絶縁のための白い陶器の部品がありますが、それを「碍子」と言います。

 きつい仕事や sport をした人は、加齢と共に、体の不調が出てくるのでしょうか。怠けて生きる方が、身体が長持ちするのかも知れません。でも春風が吹く頃になると、心だけではなく、体が喜んできます。その前には冬を過ごさねければなりませんが。

(「碍子」と「ファイテンサポーター」です)

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