お笑い

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 落語家の「立川らく朝」師匠が次の様に言っています。

『医学的な研究データによってわかっている笑いの効能は、大きく分けて3つあります。
 まず1つは、落ちている免疫機能を正常化するという効果です。ある医学実験では、笑うことによってがん細胞やウィルスをやっつける「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」が活性化することが証明されています。つまり、笑いはインフルエンザなどの感染症やがんの予防にもなるということです。

 2つ目は、血圧を下げる効果です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、常にどちらかが優位になるというバランスをとっています。交感神経は興奮したりストレスがかかると優位になり、血圧や脈拍を上げます。逆に、副交感神経は就寝前などのリラックス状態のときに優位に働き、血圧を下げます。
いまの時代はストレス過多なので、交感神経が優位になりがちで、血圧が高めの人が多いわけですが、笑うことによって副交感神経優位の状態になって血圧が下がることがわかっています。どっと笑った瞬間は交感神経が優位になりますが、その後、副交感神経が優位になって身体をリラックスモードに変えてくれるのです。

 3つ目は、血糖値を下げる効果です。笑うとインスリンを分泌する遺伝子の作用で血糖値上昇を抑えるようです。つまり、笑うことで糖尿病が改善するということです。大阪の糖尿病の専門病院では患者さんに漫才のDVDを貸し出しており、実際に血糖値が下がっているそうです(養命酒「元気通信」2013年1月号)。

 このらく朝師匠は、「1954年、杏林大学医学部卒。慶応大学病院健康相談センター医長を経て、内科クリニック院長に。2000年に立川志らく門下に入門、2004年に立川談志に認められ二つ目昇進。プロの落語家で医師という立場を生かし、健康教育と落語をミックスした「健康落語」「健康一人芝居」などの新ジャンルを開拓。『笑えば治る 立川らく朝の健康ひとり語り』(毎日新聞社)、『一笑健康』(春陽堂書店)など笑いと健康をテーマにした著作や連載も多数。』と言う背景の方です。

 コロナ禍で、人の思いが否定的になっていたり、恐れや不安に苛まれているかも知れません。これまでお会いした方の中で、医者は、『そうではありません!』と言ってるのに、『わたしは癌にかかっているんです!』と言っては、それでも医者通いに余念のなかった方が、一人だけいました。その反対に、ガンでも、『生きられるだけ生きます!』と生きるのに前向き方がいます。この《笑の効用》を、落語家とお医者さんとからお聞きになられたら、そう、“ 笑わにや損、損!” でしょう!

新宿の末廣亭も、コロナ禍で休演だそうです。もう何年も行かないのですが、話すことを仕事にしていた関係で、話芸の達人たちに学ぼうとした時期が、私にもありました。それで出掛けたりしました。でも、私の仕事は、人を笑わせたり、心を温めたりすることではなく、生き死にの問題でしたから、ただ話す技術を身につけても、真摯(しんし)さがなくてはならないと思っていました。でも、子どもの頃から聞いた、志ん生や小さんや圓生、志ん朝、馬生などの名人芸には、驚かされたり、感心させられたり、笑わせられました。このご時世、もう少し笑えたらいいですね。

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