来客

 

 

医療ロボットの研究を志して、日本に留学のために、中国華南の街から来て、東京郊外の大学院で研究を始めている青年が、家内の見舞いに、昨夕、東武電鉄の電車に乗って、やって来ました。中国の東北地方の省立工業大学に学んでる間、独学で日本語も学んで、留学準備をしていたのです。

その彼が、大学在学中に、時々、習いたての日本語で電話をかけて来て、家内と会話をしていました。帰省すると、わが家に来て、食事をしたり、買い物に一緒に行ったりして、私も含めて家内と、日本語での交わりを楽しんでいました。そう、彼は家内の《教え子》の一人なのです。

駅で降りて、駅前にある当地の有名和菓子店で、お土産を買って、東京から買って来た「葛餅(くずもち)」とダブル和菓子の持参でした。家内は、今は〈甘い物〉は摂らないのですが、十四年前に召された次兄の兄嫁と甥の来訪時にも、お土産としてもらった「バームクーヘン」も、折角だと言って、少しですが賞味したのです。

彼のお爺さんは漁師で、彼が母のふるさとを訪ねて、街に帰る朝は、そのお爺さんが、朝3時頃に起きて、海に行って、小さな〈巻貝〉を獲っては、沢山持たせてくれるのだそうです。わが家にも、それを上手に調理してお裾分けしてくれました。食べ方までも伝授してくれてです。これが美味しいのです。

ご両親から、多くの愛を受けて生一本(きいっぽん)、素直に育った、爽やかで、素敵な青年です。子どもが186cmになっているといった感じなのです。そう、『学成るまでは恋をしないと!』と、お母様と約束してるのですが、話の端に、どうも好意を寄せている女性がいるのが感じられるのです。

中国の私たちの生活圏には、彼の様な素晴らしい青年が多くいるのです。何年も前に訪ねてくれた、海南島出身の青年は、ギターを持って、わが家にやって来て、体調を崩していた家内に、自作の曲を演奏してくれたこともあります。昨夕は、鯵の塩焼き、友人がくれたハンバーグ、野菜具沢山の牛肉入り味噌汁、サラダでの夕食後、〈洗碗xiwan/茶碗洗い〉を、彼がしてくれました。

つい《いい子》と言ってしまいたくなる、24才の青年です。お父さんは、上海でお仕事をしていて、そこで一緒のお母様は、自分の両親を時々訪ねるために、私たちの街に帰って来ては、行き来していました。わー、十二年も住んだ街には、強い愛着があって、懐かしくて仕方がありません。先々週は、その街は35も、気温があったそうです。

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