学び

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1563年に、ポルトガル人のルイス・フロイスが、日本を訪ねています。31歳で、長崎に上陸したのです。足利義輝の治世下でした。やがて織田信長、豊臣秀吉の時代にも日本で過ごしております。滞在中に、「日本通信」、「日欧文化比較論」、「日本史」を著しており、当時のヨーロッパに日本を紹介したのです。フロイスは、日本人について、次のようなことを言い残しています。

『日本人は、西洋人に匹敵する優れた民族である。この国の人々の性質や特質を思う時、布教に関わる喜びを禁じえない。純真で、素直で、よく言いつけを守り、飲み込みが早い。しっかりと規則を守っている。少しも無駄のないスケジュールで言葉を学び、文学、声楽、音楽の勉強に励んでいる。学ぶことにかけては天賦の才のある者ばかりだ。』とです。当時の日本人が、高い特質を持っていたことを語っているのです。

今の日本人は、500年も前と変わっていないことになりそうです。大航海の時代に入って、ヨーロッパの国々は、アジア、極東の国々に強い関心を向けていた時代でした。新しいことに興味を持ち、<進取の精神>に富んでいた青年たちが、異国の文化に目を輝かせて学んでいたのでしょう。確かに日本人は、かつては荒波を越えて出掛けて行って、中国に学んでいます。その後、ポルトガル文化に触れ、鎖国時代を経て、明治期になってからは、欧米諸国から学び取ろうとする貪欲なまでの知識欲が溢れていたようです。

<良いもの>を受け入れるについては、人種とか国家とか言語の違いを超えて拘わらなかったのです。それで、遅れを取り戻すのが早かったわけです。日英同盟を、1902年に締結していますが、このことは日本にとっては画期的なことだったのです。三等国が、一等国のイギリスと肩を並べられたからです。明治維新から30年で、それほどの国際地位を得たのです。どうもその自信や誇りが、大陸進出やアジア制覇への道に進ませたのでしょう。

まだまだ、私たちは学ぶことがあるに違いありません。かつてのように、波濤を越えて、門を叩いて新しいことの学びを請うたように、あの時の謙虚さに戻る時かも知れません。相手を知ることが、己を知ることなのです。私は、こちらに来てから、言葉だけではなく、私にない優れたものをお持ちのみなさんから、多くのことを学ぶことができました。感謝なことであります。

(写真は、”ウイキメディア”による、四川省成都にある「詩聖・杜甫像」です)

日々是好

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アパートの南側に、大家さんの田圃が、大家さんの住宅と挟んでありました。結構広くて、向こう側に見える大家宅が小さく見えるほどでした。田圃に水が張られ苗が植えられると、「大合唱」が始まるのです。そうです、蛙の鳴き声々です。幾重にも重なって、『グウオー、グウオー!』と聞こえてきました。この自然界の音というのは、決して騒音ではないのです。『すごくけたたましい和音だ!』と思っているうちに、子守唄に変わるのでしょうか、すぐに眠りに落ちていきました。

この水曜日の夕方、知人の家に行きました。その高級アパート群の正門の横に噴水があり、水が張られてありました。そこから、あの懐かしい、蛙の鳴き声がしてきたのです。雨期で、どこからやって来たのか、もともとが農耕地だったところで、子孫が帰郷して来たのかも知れません。こちらに来てから初めて気づいた鳴き声でした。それで、小さかった子どもたちといっしょに過ごした日本での生活の一コマを思い出したのです。

そういえば、この辺りには田圃が見られないのです。河を挟んだ旧市街に人が多くなって、郊外の農地が住宅に転用されて、アパートが林立し始めてきた地域ですから、農地は、さらに遠くに行かないと見られません。その農地も、郊外農業でしょうか、野菜の植え付けがほとんどです。朝早く、リヤカーを挽いたり、モッコで担いで、農家の人たちがやって来て、青菜や瓜を道端で売っているのです。

この辺りで、ついぞ見かけないのが、道路際にある「無人野菜販売所」です。子育てをしていた町の郊外に行きますと、野菜だけではなく、旬の果物が、プラスチックの袋に入れられて、百円、二百円と値が付けられて置いてありました。その横に「料金入れ」と書かれた箱も置かれていました。新鮮で美味しそうなので、よく買って帰ったことがありました。『そんなんで大丈夫?!』と思えるのですが、買い手をまったく信じていたわけです。

今朝は、真っ赤に熟れたトマト、キュウリ、バターとピーナッツバターとブルーベリージャムをつけたトーストに三角チーズ、それに紅茶、何時もの朝食でワンパターンなのです。美味しい日本式パンを、時々もらいます。何と昨晩は、ケーキも頂いてしまいました。アマンドやボンマルシェなどの老舗の味と遜色のない質と味なのです。ご安心ください。<喰う寝る遊ぶ>、そして仕事もボランティアもさせて頂いている日々を、楽しく生きております。

(写真は、”ウイキメディア”の「トマト」です)