花も実もあるこの街で

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三週間ほど前に、とても暑い日がありましたので、『夏が来ましたね!』と言いましたら、『夏は、<労働節>が来て始まるんですよ。』と、我が家の上の階のご婦人が教えてくれました。日本でしたら、梅雨が終わってからが夏なのですが、こちらでは五月一日が真正の夏の始まりなのです。

まだ暑さと寒さを繰り返す日が続き、『もう要らないよね!』と言ってしまった上着を、また出してきて着たりしていました。さすが、昨日は、夏服でしょうか、半袖が主流でした。私は、大好きな麦わ ら帽子を出して、それを被り、二人の若い客人のために、野菜と果物を近くの店に買い出しに出かけたのです。天気予報は<多雲>でしたが、雲間から時々さしてくる陽の光は夏そのものでした。

ブログのアップを休んでいる二ヶ月ほどの間に、このアパートの中の木や草が花をつけては散って行くのを繰り返していました。今は、ハイビスカスの紅い花びらが鮮やかに目に飛び込んできます。ブーゲンビリアも、あちこちで咲き(!?)始めています。工業路の沿道の花水木も、二週ほど、バス利用の通勤途上の私の目を楽しませてくれましたが、もう散ってしまっています。

日本の中部や関東地方で見られない珍しい花を、『これは何と呼ぶのですか?』と聞くのですが、教えてくださる方が少ないのが残念です。この街で植樹をし、お世話をしてくださっている方に、感謝の気持ちを表したい思いがしてまいります。美しく樹木や花で装った街で生活ができて、仕合わせだと感じております。そういえば、金木犀の匂いがだいぶ前にしてきていました。

今朝は、バスで出かけて、用をすませて昼食をご馳走になって帰宅しました。帰りに果物屋さんによって、今日のご褒美に、瓜とマンゴスチンと梨を買いました。もう梨が出回っているのです。日本では、これからだったと思いますが、ここは花も実もある街であります。

(写真は、「花水木」の花です)

音と声

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毎朝、まだ夜が明けないうちから、聞こえてくる音が、三つあります。一つは、道路を清掃する人たちの日常談義です。二つは、小鳥の鳴き声です。最後は、『コケコッコー!』のニワトリの夜明けを告げる鳴き声です。これが一番の大声なのです。二羽どころではないようです。ここはアパートが林立する住宅区域で、農家などは周りに一軒も見あたりません。ですから農家の庭先の鶏小屋からではなく、アパートの道路に面した一階の店舗のシャッターの中から、漏れ聞こえてくるのです。

このニワトリは、卵用ではなく、食肉用なのです。日本では、何処かで処理されて店頭で売られる鳥肉なのですが、こちらでは、店頭で処理されて即売されています。鴨やアヒルや鳩も、籠の中でひしめいているのです。例外なく、何処かで処分されるのですが。目の前でされているものを、買って帰る心備えができていない私たちは、店頭で買うことができないままでいます。気持ちの問題なのでしょうけど。

道路を挟んだ右の方にある店舗の中からですから、結構至近距離から聞こえるてきます。いつもしている「耳栓」を越えてやってくるのです。日毎に車の台数がましていて、バス通りを走る数も激増してるからでしょうか、車のエンジン音とタイヤの音が強くなってきているのです。それに、道路上で店開きをしている屋台や、階下の食堂で、声高に興じている音も声も、以前に比べて強くなってきている、そんなこの頃なのです。よく「中国版ジャンケン」が、徐々に興奮して、喚(わめ)くようになってきます。週末が酣(たけなわ)です。

午前零時過ぎになっても遠慮なくしていますので、防衛、いえ防音対策としての「耳栓」は欠かせないのです。日本人も中国の皆さんも、骨格も体格も全く変わらないし、声帯も変わらないのですが、話し声の高さが違います。日本人は、相手との距離と周りを気にしながら、口先で話します。ところが、こちらのみなさんは、腹式でしょうか、お腹の底から声を出すのですから、強烈です。狭い日本と広い中国で、人と人との距離が違うからでしょうか。

バスで、隣に座っているおばさんが、携帯に向かって、百メートルも向こうにいる人にでもある様に、お腹から話していることがよくあります。『あんなに大声を出したら、スッキリするだろうな!』と思うのですが、どうしても真似できないジレンマで、いつも小声と「耳栓」の家内と私であります。

(写真は、太陽が昇り始める「夜明け」です)