saxophone

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 『わが子よ。あなたの父の訓戒に聞き従え。あなたの母の教えを捨ててはならない。   わが子よ。あなたの父の命令を守れ。あなたの母の教えを捨てるな。(箴言18節、620節)』

 『ヤワな音楽などしない!」と決めた日がありました。家のコタツに入っていて、父が話した言葉が、その動機だったのです。『ミュージシャン musician たちの多くがヒロポン(覚醒剤)をやっていて廃人になってしまうんだ!』と聞いたからです。タバコや酒の誘惑には負けたのですが、麻薬には誘われながらも、一度も手をつけなかったのは、その父の言葉によったのだと思います。

 それは、ものすごい抑止力として、自分の人生に働きかけて、守られて今日に至っているのです。様々に誘惑の激烈な力にさらされながら生きていく息子たちに、強烈な一本の釘を込んでくれた父には、今も感謝が尽きません。

 新宿のアングラ劇場に、学校の仲の良い友だちに誘われて行ったことがありました。チカチカとキラメクの動くように輝く照明を浴び、紫煙が立ち込めて、そればかりではない怪しい香を炊く匂いがする中に、男も女もゴチゴチャと踊ったり、体を動かして、陶酔しているようでした。

 『私は、こんな地獄の3丁目にいてはいけない。逃げ出せ!』との内なる声を聞いたのです。友を置き去りにして、ほうほうの体(てい)で、その場から出たのです。それ以来、それと怪しい場には、二度と近づきませんでした。呑み込まれるような、組み込まれるような麻薬の世界から、薄皮一枚で逃げ出られたのは、自分の意思の力ではなかったのです。

 それで、音楽は、男のすることではないとしてしまいました。それでもハーモニカ、ウクレレなどをは、やってみると気持ちがいいのです。教会の礼拝に出るようになって、母が連れて行ってくれた時に、歌い聞いた讃美歌が、思いに甦ってきて、懸命に賛美したのです。chorus と言われる黒人霊歌のような、ジャズのような、ブルースのように、聖書のことばを歌う教会歌を、歌うようになったのです。

 そうすると、ウキウキと、心が高揚してきますし、力がみなぎってきますし、心に喜びも湧いてくるのです。古来からの讃美歌のおごそかさ、言葉の重みと同じように、今の気持ちを率直に表現する、この手の賛美を、主はお喜びになられるに違いありません。教役者大会で賛美リード、司会を何度かしたことがあったのが思い出されます。

 ところが最近、父の訓戒を聞き過ぎて、損をしたように感じてしまうのです。もちろん薬物に、引きずり込まれずに過ごせたのは、本当に良かったのですが、楽器をしてこなかったことを、今になって悔やむのです。歌うだけではなく、楽器、たとえばtenor sax clarinet trombone tuba などの管楽器をやっておけば良かったなと思うこと仕切りだからです。

 三年前に帰国してから、尺八か saxophone をしたくて、友人から教わろうとして、指導していただいて始めたのです。尺八は難しいなと思って、tenor sax を友人から習い始めました。一曲の聖歌を練習し始めたところ、水害にあって、大きな家から越さなければならなくなり、それを中断してしまったのです。自分が吹く音に魅せられるというのでしょうか、今また、その音を思い出したのです。

 その友人に、『今度はオカリナはどうですか?』と言われて、ドレミファとやり始めたのですが、進歩なしでおります。そんな中、原信夫や渡辺貞夫の吹く sax 、北村英治の吹くclarinet、ジョージ・川口の打つ🥁、前田憲男のたたく 🎹、高校や自衛隊や警察隊の管楽器での吹奏楽演奏を聞いていたら、眠ってる子が目覚めてしまったのです。それって情操のためだけではなく、身体上の健康にも繋がりそうに思えるのです。来年こそはの年末です。

(サックスの宇都宮出身の「渡辺貞夫」です)

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