旧交を温めて

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静岡県の西に、掛川と新所原を結ぶ、第三セクターの「天竜浜名湖鉄道」があります。かつては、浜名湖の北側を通る旧国鉄のローカル線でした。この土曜日に、家内と二人で、品川から新幹線の「こだま」に乗車して、掛川で降りました。そこから、この路線の電車(ジーゼル車だったでしょうか)に乗り継いで「天竜二俣駅」まで、電車の旅をしたのです。以前の旅は、車でしかしませんでしたが、今は、電車やバス利用になっております。

一両編成で、土曜日の午後でしたから、クラブ活動帰りの学生や小さな子ども連れのお母さんが前の席に座っていました。家内は、自分の孫を見るように、目尻を下げて、三人の男の子のすることを見ていました。一番下はヨチヨチ歩き、次男は幼稚園児、上の子は小四くらいだったでしょうか、若いお母さんは、怒鳴ることもキリキリすることもなく、たんたんと世話をしていたのです。次男の行動は、「やっぱり、」で一番面白かったのです。

ここに、古くからの友人夫妻がいて訪ねたわけです。<旧交を温めた>ということになるでしょうか。彼の家に泊めて頂くつもりでしたが、久しぶりに帰国した私たちにと言うことからでしょうか、隣町にある、森林公園の中にある宿泊施設に泊めて頂いたのです。静かで景観がよい宿で、ゆっくりと旅の衣を解くことができました。翌日の昨日は、彼らの友人たちとも交わることができたのです。二十代に出会ったのですから、ずいぶんと長い交流になります。お互いに、髪の毛は白くなって外貌は変わっていますが、生き方や情熱や目の清さは変わらないでいたのです。さざ波のように懐かしさがこみ上げてまいりました。お昼には、息子がお世話になった方の奥様の手作りの「麻婆豆腐」をご馳走になり、この地域で有名なお茶や羊羹や源氏パイなどのお土産を頂いてしまいました。

この方たちもアメリカ人の企業家と一緒に働いてきたのです。その企業家は、私が一緒に働いた方の親しい友人の一人だったのです。そういうことから出会って、よく行き来してきたわけです。もう、私たちを世話してくれた方たちは、召されててしまいましたが、このことも、また懐かしい思い出話に、花を添えてくれるわけです。訪ねたのは、諏訪湖から流れ下る天竜川が二俣になっている地形に位置している街ですが、ついでくださった緑茶を飲み、みかんを食べますと、そう言った出会いや交わりをした日々が、昨日のことのように思い出されてきました。日本が近代化し豊かになって、家並みも道路も綺麗になってしまい、古い日本の佇まいを見ることができなくなって、ずいぶんと寂しい思いをするのですが、旧友に再会して、その心が変わっていないこを知ることは、大きな慰めでした。

昨日の夕方、掛川の駅まで車で送って頂きました。道道四人で、それぞれの今を語らいながら、これからを覚え合えることは、嬉しいことと感謝した次第です。彼の事務所の玄関には、奥様が生けられた「ロウバイ(蝋梅)」の香りが満ちて、私たちの訪問を歓迎されているようでしたが、その残り香が、車内に漂っているかのようでした。駅頭で、奥様と家内はハグを交わし、彼と私は握手して再会を願い合いました。

(写真は、「蝋梅」の花です)