人の名前に、「君(くん/きみ)」をつけることがあります。ちょっと気取って、上品に相手を呼んだり、手紙の中で書いたりしたことがありました。くすぐったい感じがして、『オレらしくないなあ!』と感じて、使うのを躊躇してしまったのを覚えています。喧嘩の相手を呼ぶ時には、『てめえ!』と呼ぶのに、『クン』や『キミ』はないわけです。
いつ頃から、この「君」が使われるようになったのでしょうか。ウイキペディアには、「君とは東アジアの漢字文化圏、特に中国や朝鮮の王朝で見られた皇族・王族または功臣の称号のこと。中国では、戦国四君の一人孟嘗君が有名。」とあります。例えば、日本でも、「大君」とか「主君/君主」とかは、王や支配者に対して使ったようです。子どの頃に、大人が酔って、よく「軍歌」を歌っていたのを耳にしました。『我が大君に召されたる・・・』、これは「天皇」を意味していて、戦意高揚のための歌だったようです。
スポーツや芸能界では、「さかなクン」、「マー君」などが使われているにを聞くのですが、呼ぶ方は親しみを込めてそう呼ぶのですが、聞く方が、オジさんになっているのに、このままでいいのかなと思ってしまうのです。そういえば、国会の中継を聞いていた時に、衆議院でも参議院でも、議長が、質問者や回答者、演説者を呼ぶ時に、『安部君!』と呼んでいます。これだって、『「君」はないだろう?』と思うのですが、どうなのでしょうか。
私が、ある学校の招聘を受けて、教師になった時に、こんなことがありました。学卒で教員になっていた同年の男が、私のことを、『 廣田クン!』と呼んだのです。すぐに分かりました。『俺が先輩で、お前は後輩だ!俺は一流大学を出ていて、お前は三流大学卒だ!俺は学卒の就職で、お前は転職だ!・・・』と、腹の中で思って、そう呼んだことがです。こう言った接し方をする男が、時々いるからです。まだ血気盛んだった私は、「坊っちゃん」ではありませんが、ぶん殴ってやろうと思ったのですが、可哀想に思ってやめました。
『マサちゃん!』と、父や母や兄や弟が呼んでいました。この『ちゃん!』の響きはいいですね。親愛の情が籠っていて好いものです。中国語にもあります。「小xiao」を名前につけて呼ぶのです。その他にも、「幼名」で家族内では呼ぶのだそうです。今の日本ではなくなりましたが、戦国武将などは、生涯に何度か名前が変わっているようです。その他には、「渾名(仇名とも書く<あだな>)」もありますね。『マサボー!』と呼ばれたことがありましたが、一生物(いっしょうもの)ではありませんでした。
一つの提案ですが、あの襲来するハリケーンに女性名をつけて呼び、台風にも名前がつくように、年末に、過ぎた一年に、「名前」をつけて 歴史に刻むのはどうでしょうか。漢字の一文字で言い表すことより、面白そうなのですが。
(写真上は、「裸の王様」、下は、「さかな君」です)