この9月18日に、東京と名古屋間を、40分で結ぶ「リニア中央新幹線」の開業が、2027年に決まったとの発表がありました。現在の品川駅の地下に始発駅を作り、相模原、甲府、岐阜に新駅を設け、名古屋に到着するとのことです。時速500kmとは、どれほどの速度なのでしょうか、ちょっと体感してみないと何とも言えない「速さ」に違いありません。南アルプスの山岳地帯にトンネルを掘るのですね。歴史上まれにみる土木工事になることでしょう。
この実験線の見学センターが、山梨県都留市にあります。近くを通りかけたことが何度かありましたが、見学をしないままでした。40分というと、長男の住んでいる東武東上線の駅から、次男が住んでる代官山までの普通電車と乗り換えの時間を入れた所要時間くらいでしょうか。名古屋には知人はいませんから、行く機会はないのですが、便利になることはいうまでもありません。
このところ、日本との往復に、船を利用することが多くなってきています。ゆったりと背中を伸ばして旅ができますし、急かされることのない船旅は、今まで急ぎ足の生き方を補ってくれるような、微調整してくれる効果があるように感じています。妻や子どもたちに、「早く!速く!」と、急(せ)かしてきた自分としては、反省も込められているようでもあります。上海を昼前に出港した船は翌々日の朝9時に大阪港に着きます。この丸二日は、過ぎにし年月に思いを向けたり、これから迎える日々を考えたり、ただ波の飛沫(しぶき)や流れる空の雲を眺めながら、思考停止していることで過ぎていきますが、それは新たな経験になっているようです。
そんな経験をしますと、人生は、「はやさ」ではないことが、やっと悟ることができたようです。つい急いだばかりに、無くしたり、忘れたり、取りに戻ったり、やり直したことが多くあったのを思い出し、結局は、急いでも、ゆっくりでも、所要時間は、ほとんど変わらなかったのです。かえって、ゆっくりした方が早かったと思われることが何度もありました。
この8月、上海までの船は、台風の余波で大揺れでしたので、「次は飛行機で!」と思ったのですが、そう言った口が乾かない今、「次回も船で帰国しようかな!?」と、考えてしまう私であります。今度、日本に帰ったら、「鈍行の旅」をしてみたいものです。上野から青森まで、普通電車を乗り継いだら、二日ほどかかるでしょうか。無目的に、どこかの駅で下車をして、バスに乗って横道にそれたら、新しい発見や体験があることでしょうね。車を運転していた時に、よく見かけた表示に、「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く?」という交通標識がありました。さあ、ゆっくり、ソロリソロリと歩んで、ターミナル(終着)に向かうことにいたしましょう。
(写真上は、「リニアカー」、下は、歌川広重の「東海道五十三次」の「三島宿」です)