枇杷

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「枇杷」季節の花300

 『ウワーッ!こんなに高いの!』と驚いて、ほとんど買って食べたことがなかったのが、この時期の旬の「枇杷(びわ)」でした。四つか六つ入ったパックの値段を見て、買うのを控えてしまったことがありました。家内が、無事にビサ(査証)を取得してこちらに戻ってきましたら、寒暖の温度差が大きくて、少し体調を崩してしまいました。それで、お見舞いに訪ねてきてくださった方が、大きな袋にいっぱいの「枇杷」を買ってきてくれたのです。しかも、一級品で、知り合いの果物商から買ってきたと言っていました。そして、スプーンで上手にビワの全面をなぜて、皮をむきやすくして、手渡して、『食べてください。肺にいいんです!』と言って家内と私に進めてくれました。果肉が厚く、果汁もたっぷりで、こんなにたくさん食べたのははじめてのことでした。

 実は、働いていた事務所の庭に、「枇杷の木」がありました。実が小さかったのですが、味は抜群に美味しかったのです。ところが、食べごろになると、大群の鳥がやってきて、またたく間に、ついばんで食べてしまうのです。彼らと競争で取り合ったものを食べましたが、種が大きくて実はほんのわずかでした。この枇杷の葉が、「抗癌作用」があるというので、『葉を少し分けていただけますか?』とおっしゃる方がいました。そんなことを思い出して、今週は、枇杷を堪能しております。そのせいでしょうか、家内が元気を取り戻して、台所に立てるようになりました。もしかしたら、訪ねてくださった方の「愛」と「優しさ」に効用があったのかも知れません。

 この枇杷は、中国原産で、日本には、すでに六世紀頃に、大陸からわたってきたと言われております。枇杷ずきな大陸人が、行った先で栽培して、この味を楽しもうと思って種を荷物の間に忍ばせて、大海原をわたってきたのでしょう。これが果物として市販され始めたのは、そんなに昔ではなかったと思うのですが、長崎の茂木産のものが多かったように思いますが、形状はいいのですが、あまり美味だとは言えませんでした。ところが、この数日食べているものは、やはり本場物というのでしょうか、実に美味しいのです。なんだか羨ましがらせてしまって、申し訳ありません。今朝、スーパーへ、家内に変わって買出しに行き、「冷凍秋刀魚」を買ってきて、大根おろしで、今、食べたところです。外は薄暮、これから、「枇杷」を楽しもうと思っております。

(写真は、”季節の花300”の「枇杷」です)