アジア圏訪問記

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 「写真」、ある街の中華ラーメン店の壁に、一葉の写真が貼られてあります。世界中探しても、そして、ここ日本で見つけようとしても、この手の写真はありません。選挙や宣伝のためではなく、ただ、ラーメンや中華料理を食べた記念に、その店で撮ってくれたものです。

 この街は国でもあり、80%以上の国民が、中華系ですから、写真は、公用語では picture、通用語では照片(zhaopian)と言うのでしょう、そうシンガポールなのです。かつて、「苦力(kuri)」と呼ばれて、中国大陸から出稼ぎでやって来た人たちが多く住み着いて、スラムの様な中国人街を形作ったそうです。

 ここでは英語なんか聞こえません、中国語、とくに福建省からの移民が多いので、闽南语(minnanyu)や福州話が飛び交っているのです。そんな中で、甘肃省(Gānsù Shěng)出身の方がやっている中華料理店で、その店の壁一面に、写真が貼られている中の一葉が、家内と娘と私、そして店長さんが写ったものなのです。

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 長女が贔屓(ひいき)にしている店で、人懐っこいので、友だちの様に店主ご夫妻と交わりを持っていました。英語でです。シンガポールでは、きっと一番の美味しい店で、店主が大陸の中央部の出身で、麺を手作業で伸ばして、伸ばしてを繰り返して細麺にする手延べの様子を、performance してくれるのです。中国でも、これほど美味しい「蘭州(兰州lanzhou)拉面(麺)」や餃子や他の料理は食べたことがありませんでした。

 学校が休みに入ると、娘が呼んでくれて何度も訪ねたのです。一度、市内を散策していた時に、家内が体調を崩して、救急車で運ばれて、国立病院で診てもらったこともあるのです。娘が納税者だからでしょうか、単に旅行の訪問者だからでしょうか、その治療費を請求されなかったのです。それで、すっかりこの国が気に入ってしまったのです。
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 もう一つは、中国語で、榴莲(liulian)と言うドリアンが美味しいのです。街中に、ドリアンだけを売る市場が、繁華街を外れた所にあって、山積みにされてあるのです。その中から、店の方が選んでくれて、独特のナタの様な包丁で割ってくれ、テーブルで食べさせてくれるのです。シンガポールでは獲れずに、タイからの輸入なのだそうで、新鮮で、しっかり熟していて食べ頃の物は、ほっぺが落ちるほど美味でした。

 匂いで嫌われる南洋の果物ですが、味は「果実の王様」で、家内もすっかり好物になってしまったほどでした。このシンガポールでは、公共交通に、これを持って乗れないように、法律で禁止されているのだそうです。

 赤道直下に位置しながら、暑さを感じないほど住み心地の良い街なので、また訪ねてみたいと思うのです。そう、蘭州面やリューレンの味に誘われてしまうからかも知れません。旧日本軍が、北の国境付近から自転車部隊で南下して攻め込んだことで有名です。その戦争被害の monument があって、ちょっと辛い思いもしたのです。

 アジア圏は、そう言った話が多いのですが、戦後は、植民支配を脱したアジア諸国は、日本人の謝罪を受け入れ、戦後の復興の様に驚かされて、経済躍進のモデルの様に思っていてくれるのです。

(ウイキペディアのチャイナタウン、蘭州拉麺、ドリアンです)

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