ドキリとさせられて

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 物損保険の業界では、労働災害などの事故が起きたり、失敗が起こったりする原因を、『経営者の家系に何か大きな問題が潜んでいるからです!』とは言いません。ハーバート・ハインリッヒと言う、アメリカの保険会社の調査員(副部長)が、一つの法則を見つけています。ウイキペディアに、次の様にあります。

 『彼は、ある工場で発生した労働災害5000件余を統計学的に調べ、計算し、以下のような法則を導いた。「災害」について現れた数値は「1:29:300」であった。その内訳として、「重傷」以上の災害が1件あったら、その背後には、29件の「軽傷」を伴う災害が起こり、300件もの「ヒヤリ・ハット(危うく大惨事になる)」した傷害のない災害が起きていたことになる。』、これを、一般的には、「ハインリッヒの法則」と呼んでいます。

 2005年の早春の朝のことでした。所要があって、その日は車ではなく、自転車に跨って家を出た私は、道路を横切ったところで、路肩の段差に乗り上げて、転倒してしまったのです。車が、倒れた私の脇をスピードを出して通り抜けていきました。私は、車道側にではなく、歩道側に投げ出されていたのです。車道側でしたら、轢かれていたに違いありません。すんでのところで助かりました。

 ところが、その転倒で、右肩の「鍵盤(腕を吊っている筋)」を完全に断裂してしまい、腕が上がらなくなってしまったのです。駅の近くの病院でCTを撮ってもらい、その事が判明し、市立病院を紹介されたのです。鍵盤の縫合手術の権威が、そこにいて、早速手術をしていただき、鍵盤が繋がれたのです。何と、退院後、6ヶ月間のリハビリで、やっと右腕が動かせる様に回復したのです。

 この怪我、入院、手術、リハビリの事を考えていて、自分のこれまでの人生に、小さな事がたくさんあった事、そして<ヒヤリ>とする様な危ない事が多くあり、そう言った事の後に起こったのだと思ったのです。『ちっと気をつけて!』という事も多くあり、<注意勧告>が何度もあり、それからの大怪我でした。術後の痛みに耐えられなくて、『自殺をした人がいたんですよ!』と、看護師さんに脅されたりしたこともありました。

 警告されているのに、<ないがしろにしたこと>が、やはり、怪我や事故や失敗をもたらすのでしょう。自分の不注意が積み重ねられての怪我だった事を、今も認めています。『日本が台風に、頻繁に襲われるのは、民族の歴史の中に、何かが・・・』という人がいますが、地球の保全を怠ってきた結果であり、もっと酷くならないための「注意勧告」であるのではないでしょうか。〈因果応報の法則〉ではなく、〈祟り(たたり)〉でもなく科学的な法則で、理解したいと思わされています。

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 このところ、台風5号が、中国大陸を北上し、とくに北京、河北省、黒竜江省などに、大洪水をもたらしました。その多くが、限界水位を超えたダムからの流域住民への知らせなしの強制放流だったともニュースが伝えています。ウイグル族への厳しい弾圧と、この洪水と結びつけるニュースサイトがありますが、災害は、悪行へのバチや刑罰ではないのです。

 河川の許容水量を超えるほどの降雨、線状降水帯によるもので、それだけ地球や海流の温度が高くなっているからだとされています。この23年の雨の降りっぷりには驚かされ続けています。今まさに6号台風が、奄美、九州各県に大雨をもたらそうとしています。さらに驚かされるのは、まだ8月、台風は六号なのですが、秋に向かって、まだまだ予断を許さない数の台風が発生し、襲来するのではないかと言うことです。

 日本ばかりか、世界中で、異常な降雨量が見られます。お米や麦が育っている水田や畑、家畜が流される光景は、悲しくて仕方がありません。ヒヤリどころではなく、〈ドキリ〉とさせられるられ今日日の世界です。東京や大阪は、地下鉄網が張り巡らされていて、そこに雨が流れ込むようなことになったら、排水能力を超えて。収拾がつかなくなってしまいそうで心配でなりません。

 被災地での衛生状況の悪化で、健康被害も心配されます。めげずに復興が、各地でなされて、普段の生活が戻って来ますように、心から願う今朝です。

(産経新聞ニュース報道からです)

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