人の性格と高温と

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 『言いたくはないのですが、暑いですね!』、毎週メールをしてくれる友への返信で、ついそう言ってしまいました。〈性格と死因〉について、医者ではない物書きの内田百閒(うちだひゃっけん)が、次のように言ったそうです。

 『芥川君の死因についてはあんまり暑いので腹を立てて死んだのだろうと私は考えた(「河童忌」にそうあります)。』、どうも芥川龍之介は、立腹癖があったとかで、あまりにも暑い夏に辟易したのでしょうか、その暑さに腹を立てて、自死してしまったのだと、独自の見解をしています。

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 生い立ちの時期に、家庭に辛い経験があったこともあって、芥川は繊細な性格だったそうです。頭は鋭く切れた人だったのですが、自信がなかったようです。しかも、厭世的なものの考え方をする人だと言われています。育った家庭に問題があって、心や過去に傷のない人などいないと思われますが、そう言った心の戦いの中で、彼の書いた作品が世に出て、共感を呼んだのでしょう。

 鉄道マニアの先駆者の内田百閒は、友の死に際して、青酸カリ自殺や睡眠薬自殺とされていた死を、〈立腹〉のせいにしたのでしょうか。しかも、高温な夏の友の死だったので、そう言って退けたにちがいありません。ちなみに、その日の気温は、今日本列島を包み込んでいる356℃だったようです。

 ある統計に、〈日本人は自殺しやすい気温〉に触れていました。その温度は、〈25〜26℃〉なのだそうです。気温を地図上で、高温地帯を赤で表記するものを見ていましたら、日本中が、真っ赤になっています。真夏日、危険な夏日に見舞われている日本列島であります。

 今日日、高温の日の連続で、『溶けてしまいそう!』と、家内が言うほどに、〈災害級の暑さ〉が続いているのです。それで、ゆめゆめ腹を立てずに、さっぱりしたものでも飲んだり、食べたりしながら、もう3週間ほどのピークを、『よく生きてるよ!』と、自分を褒めて、凌いでまいりましょう。

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