いいなの秋

.
.

  秋はいいな涼しくて

お米は実るし くだものも

山からころころやってくる #

 九月、夜が長くなるというのでしょうか、「長月」になりました。英語では、第七番目と言う意味から ” September “ です。別な言い方で、「祝月(いわいづき)」とか「彩月(あやどりつき)」とか言うのだそうです。日本では新学期、アメリカなどでは、新学年が始まります。

 そんなことを考えている今朝、沖縄地方では、とても強い台風が来ようとしています。ザワザワと騒音のする出来事も起こっていて、秋の夜長を邪魔されたくない思いがしています。

 この夏、ずいぶん西瓜を食べました。今まで、入れる隙間のない冷蔵庫なのに、丸くて大きなスイカばかりを買っていましたが、小玉西瓜を何度かいただいてから、その小さな物ばかりになりました。あるスーパーで、地物売り場にあったのが、この写真のスイカです。最後になるでしょうか、とても甘かったのです。昨晩で食べ切りました。

 やはり秋がいいのは、果物が出回ることです。糖分の過剰摂取にならないような注意をしながら食べることにします。灯火親しむ読書の季節に、日本を知る旅に、やはり秋はいいな、ですね。

.

徳島県

.
.

 わたしが出会った中国の方は、ほとんどが、標準語を話されます。アニメを見たり、今では YouTube で学ばれるからです。わたしの知人に、日本に来られて、徳島市の語学学校を出て、京都大学で学び、博士論文をとられた方がいます。

 この方が、河南の町の大学の副教授で、先日、関西圏の大学で特別講義をするために招かれて来られ、休みをとって、家内とわたしを訪ねてくれたのです。なんと関西圏訛りの「徳島弁」の accent  で話されるのです。徳島市内でアルバイトをしながら、猛烈に学んで、そこに7年もいたそうです。今では講義を日本語でし、学会の研究発表は英語でするのですが、普通のおニイ然とした方です。

 これまで多くの中国の方と出会いましたが、この方が、日本語の喋り言葉が一番上手なのです。退職したら、徳島の古民家に住みたいとの願いがあって、それを手に入れる計画を持っておられるのです。そんなに徳島に魅せられといるのに驚かされてしまいます。

.

.

 徳島は行ったことが一度もありません。「鳴門の渦潮」で有名ですが、どんな風なのか見たいとは思ったことはありましたが、そのまま訪ねずじまいなのです。瀬戸内海と紀伊水道とに、干満の差があってできる潮流の自然現象なのだそうです。一日中見られるのではなく、塩の満ち干によってでき、渦の大きさはは、最大で直径20mもあるそうです。

 38万kmも離れている月との距離があるのに、月の引力によって、地球上の潮の干満ができるという話を、小学校で学んで、驚いたことを昨日のように覚えています。海面が引っ張られる現象なんて、あんなに重たい、地球上の水を地球の海水ごと引く Energie とは、どんなに強力な力をもっていることでしょう。静かな月を見ていては、想像もつきません。

 月ばかりではなく、太陽との地球の相互関係を考えてみると、ちっぽけな子どものわたしの頭では、理解できませんでした。太陽系の広がり、宇宙の壮大さには圧倒されてしまいます。地球を取り巻く星々を眺めるに、空間に浮いて光り輝く神秘さには、驚かされるだけでした。でも、神の創造を信じられた時に、納得できたのです。

.
.

 県都は徳島市、県花はスダチの花、県木はヤマモモ、県鳥は白鷺、県の色は藍(あい)色、人口は70万人です。律令制下では、阿波国、蜂須賀氏の所領でした。県の色が「藍色」と言うことは、吉野川流域に行なわれ続けてきた「藍染(あいぞめ)」が、地場産業であり続けてきたからのようです。

 「出藍の誉れ(しゅつらんのほまれ/青は藍より出でて藍より青し)」という諺がありますが、日本独特の青で、“ Japan Blue ” と言うそうです。父の大島の和服は、この藍染めで、母が仕立て直してくれて着たことがありました。

 また、四百年もの伝統を持つ「阿波踊り」にも驚かされてきました。直接見たことはありませんで、映画やテレビで見た時に、日本人が、こんなに豊かな感情表現をすることに驚いたのです。どこにも年中行事があって、お囃子の演奏を聞きながら、輪になって踊る風俗が残されていますが、あんなに豊かな身体運動をする阿波人に驚いたのです。人は、抑圧されていればいるほど、その表現も激しいのでしょうか。

 『日本人も捨ててはおけないな!』と思わされたのです。一般的に祭礼の時に、激しく踊ったり、歌ったり、騒いだりするのは、「一揆(いっき)」を生むので禁止されていた江戸期に、それを許した阿波のお殿様は、ずいぶんと理解のあった領主だったのでしょう。



.
 この藍色を、「勝色(かちいろ)」とも言うそうで、〈阿波ナビ〉のサイトには、『藍には抗菌作用、防虫、防腐、防臭、保温、保湿、紫外線遮蔽など、さまざなまな効用があります。 また、化学薬品を一切使用していない藍染めは、赤ちゃんの産着としても使用でき、小さな子どものアトピー性皮膚炎の予防・緩和にも効果があるといわれています。』とあります。

 染料のためだけではなく、自然界には、驚くべき備えがあるのに気付かされます。子どもの頃に、じめじめした家の裏側の隅に生えていた「ドクダミ」が、ただの雑草だと、この頃の方は抜いてしまうのだそうですが、怪我やおできの時に、しぼったった草の液を患部に塗ったのを覚えています。

.
.

 わたしたちが長く過ごした華南の街の巷に、清(しん)の時代の古民家街がありました。そこに、「(うだつ/今では〈卯建〉と書きます)」があったのです。火事が起こった時に、隣家に延焼しないための防火壁があって、それを、「」と呼んでいたのです。

 徳島県の吉野川沿いの美馬町にも、このが残されていて有名なのです。藍の集散地で、豊かな商家が連なっていたからでしょう。庶民の住む長屋には、あまり見られませんが、豊かな商家には、財産を守るために備えられていたのです。

 このですが、『あの人はが上がらないようだ!』と、いつまで経っても、才能や稼ぎのない人を、からかう言い回しがあります。の上がるような家に住むようになることを、良いこととする社会だったからなのです。

 一軒の家も建てることなく、借家住まいの連続で、生まれてから幾度となく引っ越してきたわたしは、梲を上げ雨られませんでしたが、高く夢だけは掲げながら、今日まで生きてきたと思い返しています。この自分の生まれ育った国に、主の名が高くあがめられることが、その夢なのです。

.