反骨漢

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 「反骨漢(はんこつかん)」とは、<反骨野郎(ある人は「漢」を「おとこ」と読んでいます)>のことです。いつも人と違ったことを言ったり、したりする人のことを言うのでしょうか。時流に流されたり、人に阿(おもね)ったりできない生き方に拘る男のことです。人生を、損や得で考えずに、「尊」や「徳」に生きようとする人も、そう言った人なのでしょうね。

 噺家(はなしか/落語家のことです)に、立川談志と言う方がいました。他の追随を許さないほど、本当に落語が上手だったのです。立て板に水を流すかの様に話しました。ところが、人に嫌われる様なことを、歯に絹を着せないで言ってしまうので、敵が多く、嫌われることも多かった様です。それで、自分の一門、「落語立川流」を建て上げるのです。

 この方は、「柳家小さん」と言う方の弟子だったのですが、温順しく落語だけを演じていたら、「平成の大名人」になっていたと言われるほどの芸達者でした。いかんせん、毒舌で、人の反感を買う様な言動が多く、ただ自分の道を行った人でした。参議院議員に最下位当選したり、政務次官についたりしたのですが、破天荒な生き方や言動が災いしていた様です。

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 この方が、テレビの番組で有名な「笑点」を始め、しばらく「大喜利」の司会を務めていたのですが、降りてしまうのです。何故かと言いますと、その「大喜利」で、出題された問題に、その場で即答する落語家のスキルを求めたのですが、落語家でも落語作家でもない、番組担当者が、前もって作った答えで、回答者の噺家が返答する形に変えてしまったからです。そんな<反骨漢振り>が、この談志の好さだったわけです。

 落語の演目に「芝浜(しばはま)」がありますが、これを談志で聞いたら、彼が、どれほどの噺家であるかがよく分かるのです。CDやDVDで聞くことができます。日本語ほど、この「落語」に向いた言語はないのではないでしょうか。日本語の中から「落語」が必然的に生まれてきたわけです。同じ発音の語句が幾つもあるのが、「駄洒落(だじゃれ)」を生みやすくしているのでしょう。

 どちらかと言うと、自分も「反骨漢」の末席を濁しているのではないかと思ってしまいます。歴史の中にも、今の世にも、案外、この「反骨漢」がいるものです。好い意味で、もっと多くの「反骨漢」がいたらと願ってしまいます。日本語の基礎を作ったと言われる夏目漱石は、江戸落語の、圓朝を好んで聞くために、寄席通いをしていたそうです。

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