.

.
耳をつんざくほどの雷鳴が、大陸の大空で響き渡っています。まるで大空を「鼓」の様にして、メタ・セコイアの巨木を打棒で、叩いている様な、凄まじい大音響です。それは人類の怒りの棒かもしれません。いいえ、造物主が人類を警告しているかの様でもあります。

この数日、ものすごい音響で、天だけではなく、私の五臓六腑に鳴り響いています。「春雷」、 「雷雲」も「雷鳴」も「雷光」も「雷雨」も、夏の到来を告げているのかも知れません。『雷がなったら、ヘソ隠せ!』と言われて、布団の中に頭を隠して、耳を塞ぐ様な事はしまでした。

この日本人が二番目に恐ろしがっている「雷」が大好きな私は、雷鳴が聞こえてくると、背筋がまっすぐになってしまいます。そして外に走り出て、その豪雨に当たりたい衝動に駆られてしまうのです。夕方5時前、先ほどから雨が降ったかと思っていたら、突然の雷鳴でした。今は遠くの方で鳴っています。朝な夕なの「雷」なのです。

私たちが子育てをした街も、気流のせいでしょうか、結構「雷」が多かったのです。こちらの「雷」と比べたら、赤子の様です。こちらは、筋骨粒々の親父がいきり立っている様な「雷」なのです。子どもの頃に、ラジオで聞いた、

『♭雷さんは粋なもんだ・・・・・・・・♯』

あの頃には、意味の分らなかった文句が、口をついて出てきてしまいます。世の中が、遠慮がちになってきて、みんなが縮こまっていて、小声になってきている日本の社会とは違って、ここ中国では、赤ちゃんまでが、裂けるのではないかと心配な大きく開いた口、その口に火がついた様に泣くのです。幼稚園児だって、もう一つ向こうのバス停で話す声が、こちらのバス停でも聞こえる様な大声なのです。

雷鳴に ガバと起き出す 昼寝かな

春雷に 夏が来たよと 妻に告げ

だから「雷」も負けずに、大音響なのでしょう。大陸が広いので、そうでもしないと存在感を表せないのでしょうか。スッキリ、サッパリすることが少なくなってきた今日日、この「雷鳴」は、私を爽快にしてくれます。ものすごい勢いの「雷雨」も、ありとあらゆる汚れを打ち叩いて流してしまうのです。「雷」が通り過ぎた後は、どこもかしこも綺麗サッパリなのです。

『雷さんよ、次は、いつ来るんだい?』と、もう首を長くしている私です。

.