年の瀬に思う(9)

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甲府盆地に、釜無川と言われる川が流れています。笛吹川と合流して、冨士川となり、静岡県下を流れ下る川です。この釜無川の支流に、南アルプスから流れ下る御勅使川(みだいがわ)があります。この川が増水期には、氾濫して、釜無川に流れ込むあたりで洪水を起こして、大きな被害を起こしていたのです。戦国武将として名高い武田信玄は、この治水のために、中国の四川省にある、「都江堰」に倣って、「堤」を構築しています。その功績で、信玄人気は、近在のお百姓たちからは絶大なものが、いまだにあるようです。それで、この堤を「信玄堤」と呼んでいます。

この信玄は、『戦国の世で、もう少し遅く生まれていたらい、きっと天下をとっていただろう!』と言われる人物で、それほどの器だったそうです。この信玄には、山本勘助という「軍師」がいました。戦国時代屈指の武将で、この勘助の戦術の助言が信玄を強力に支えたと言われています。

『どんな部下をもっているか?』、これが戦国大名だけではなく、王や企業経営者に問われていることで、成功の秘訣なのだそうです。良い参謀を持った指導者は、良い指導をすることができたのです。これとは逆に、良くない参謀を持った国の国民の悲劇は絶望的です。ある書物にこんなことが書かれてあります。父に代わって王となった若い王が、民の訴えに、どう答えたらいいかと相談しました。彼とともに育った若者は、『私の小指は父の腰よりも太い。』と言って、圧政を行うように勧めたのです。

この王は、彼の父親に仕えた長老たちにも、これ以前に相談していました。国民に向かって、「親切な言葉をかけてやってください」と、長老たちは進言したのですが、彼らの言葉を無視して、若者たちの<おべんちゃら>に気を良くして、圧政をさらに強めて国民を苦しめたのです。小心翼翼とした王様は、どこにも、どの時代にもいるものです。部下の下心を見抜けないで、間違った政(まつりごと)をして、滅びてしまった国の例が多くあります。

『「人の心を自分になびかせられる王」が統治している国は、国民が殖産興業に身を入れて、国を富ませ、安心した国民生活を楽しんで送ることができる!』、こんな進言をする部下を持つ指導者を願っている国と国民のあることを思い、来年こそは変化があることを願う年の瀬です。

(写真は、四川省にある「都江堰」です)