まだまだの今

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十二月になって、巡り来る季節は正直なのでしょう、学校に行くためにバス停で待つ間に、吐く息が、白くなってきています。さしもの華南の街にも、冬が忍び寄ってきたようです。それでも日中になって日の光が射してきますと、朝、出がけに着た冬用の防寒服を脱がなければならなくなり、気温の日較差の大きさに、注意を払わないと風邪を引いてしまいそうです。この時季、一日に、夏と冬が感じらるというのが、こちらの気候の特徴なのです。先週、『週末には寒くなりますので、着る服にご注意くださいね!』と、今年も学生さんから言われました。外国人で、気候の変化についていけないといけないのでと、そんな優しい気持ちをあらわしてくれるのです。

私を身ごもった母が、中部地方の山岳地帯にある「軍需工場 」に、父が着任したのを追って、険しい山路をやって来たのだそうです。山と山がせめぎ合った、狭い山あいの旅館の離れを借りて住まいとしたのです。冬場の日照時間が、きっと少ない、湿り気の多い寒々とした山村でした。山陰生まれの母には、そんなに苦にはならなかったのかも知れません。その年の暮れの十二月に、私を産んでくれたのです。村長夫人が出産のお世話の経験があったのでしょうか、私を受け取ってくださったのだそうです。弟も、そこ生まれております。

『この子は村長さんのお孫さんですか?』と、村長宅の玄関に置かれてあった私の写真を見て、訪ねてくるお客さんが尋ねたのだそうです。今は全く面影がないのですが、生まれたばかりの私は、『結構可愛かった!』と、母が言って、励ましてくれたのです。やはり、『バカな子ほど可愛い!』のでしょうか。そんな母が老いて、病んだ時に、一度だけ、病院の行き帰りに、おんぶしたことがありました。世代交代を演じたわけです。まだ元気ですが、長生きできたら、息子たちや婿殿は私を背負ってくれるのでしょうか。そんな経験ができるのは、ちょっと楽しみです。

今朝、バスに乗りましたら、すぐに女子高校生が席を譲ってくれました。いつもの『謝謝!』で座らせてもらったのです。まだ90分、立って授業をすることができるのですが、親切を受けるのも大切な生き方の一つのようです。「まだまだ」の今を喜んで生きています。ご安心を!

(写真は、冬の「朝」の風景です)