窮鼠

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「ミヤコワスレ(都忘れ)」

 「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」という諺があります。gooの辞書で調べますと、『《「塩鉄論」刑法から》追いつめられた鼠が猫にかみつくように、弱い者も追いつめられると強い者に反撃することがある。 』とあります。どのような敵対関係にあっても、相手を追いつめすぎて、逃げ場がなくなってしまい、常識的に、論理的に判断できなくなって、考えられないような行動をとってしまうことがあります。

 戦争中に、松の根を掘り起こす「学徒動員(日中戦争以後、国内の労働力不足を補うために学生・生徒を工場などで強制的に労働させたこと。昭和13年(1938)年間数日の勤労奉仕が実施されて以来、戦況の悪化につれて動員体制が強化され、昭和19年(1944)には通年動員となった。 )」の作業が行われたのだそうです。松の根から、それを「樹脂」を取り出して蒸溜し、決定的に欠乏していた石油に変わる燃料を作るためだったそうです。「松根油」といいました。どうして、学徒を働かせて、そんなことをしていたのかといいますと、当時の日本は、石油を輸入する経路を完全に遮断されてしまったからです。それは、軍国日本への国際的制裁だったのです。

 そのために、東南アジアに石油を求めて、軍事力を行使していきます。仕方がなかったとの言い訳をしているのではありません。人でも国でも、追い詰められと何をするかわからない行動に出るのです。結局、勝つことのできない戦争を始めるといった、行動に出てしまうのです。その結果、「敗戦」という憂き目を、日本は喫してしまいます。そう言えば、戦争後でしたが、「木炭バス」が走っていて、乗った記憶があります。釜の中で薪を燃して、その温水を利用してバスを走らせていたのです。ですから、車の横に煙突が出ていて、黙々と煙を吐きながら走っていたのですから、さながら蒸気機関車のようでした。石炭も石油もそこをついていたのですから、片道の燃料を積んで、敵艦に体当たりをしたゼロ戦の悲劇はあまりにも深刻です。

 私が心配しているのは、「朝鮮民主主義人民共和国」のことです。国際社会が、経済的な面で追い詰めないようにすべきです。完全に救援物資を遮断してしまうことは、悪循環をもたらして、信じられないような行動に出させてしまうからです。長年の悪政の結果が、様々な問題を露呈させています。聞くところによりますと、多くの国民は飢餓線上にあるそうです。信じられないようなものを食糧にしている人たちが、海を渡った隣国にたくさんおられるのです。私は、食べられないという経験をしたことがありませんから、その苦しみの大きさを知りません。しかし想像はできます。窮鼠にならないような、人道的な援助がなされるようにと、願っている週日の昼前です。

(写真の花は、「ミヤコワスレ(都忘れ)」です)