baseball player

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 世界には、現実と虚構があって、その境界線が、何かあやふやになってしまっているのが、現代ではないでしょうか。現実の世界が、あまりにも悲惨で、苦悩に満ち、絶望しているので、想像の世界、嘘の世界を作り上げて、代わりをさせようとしているのかも知れません。

 舞台に立ったり、スクリーンに映し出される役者は、自分ではない、誰か他者を演じます。たとえば歴史上の人物、小説などの主人公を、書かれた脚本に従って演じているのです。それは虚構の世界です。過去に実在した人物、または空想上の人を演じて、観衆は、それを目の前に見ます。著述や脚本で思い描いた人が、役者に演じられると、史実とは違ったimage に変えられてしまうわけです。

 ところがスポーツの世界は、現実の世界であって、たゆまぬ練習や訓練によって、技術を高め、精神を強固にして結果を出します。多くのスポーツ選手を見てきて、自らを確かめようとして、励んで、だれもが認める選手になったのが、大谷翔平です。高校入学時に、「目標達成シート」を、花巻東高校に佐々木監督に指導で、作り上げています。

 その目標の達成のために、地道で不断の努力と研鑽を積んで、プロの世界で、一級の選手になろうとしたのです。貧しかった野球少年が、父親や母親に、家を建てたり車を買って上げたくて、名手となった方のお話も聞いてきましたが、大谷翔平は、お金のためでも名誉のためでもなく、単純に野球選手として、掲げたゴールに向かって生きてきたのです。

 挫折や不振や怪我にも腐らず、賞や誉を得ても驕らないで、謙虚に野球一筋に、stoic に生きる姿勢に、誰もが驚かされています。そして、29才で、名実ともに、超一級のbaseball prayer になったのです。世界中の注目の的となって、映像に映る姿は、野球少年そのものです。なんのperformance をすることもなく、Star のような表情も見せません。

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 何度か、脚光を浴びる表舞台に立ったことがあった自分ですが、spot light footlightsを浴び、自分だけが注目される場に立つと、舞い上がるような気分にさせられたのです。何か大きな存在でもあるかのような錯覚に見舞われた私でした。映画でも、歌でも、スポーツでも、政治の世界でも、教育界でも、どの世界でも脚光を浴びるstarの誘惑を感じて、舞い上がってしまいますと、その舞台を降りても、あの感覚が忘れられない、といった star たちの述懐を聞いたことがありました。

 そのような立場に立っても、偉そうにしないのが、彼なのでしょう。野球への真摯な姿は、人生を生きる大谷翔平の姿勢なのでしょう。そういった心の資質も培ったことに驚かされるのです。野球人生も、人生全体にわたっても、悔いなく活躍していくに違いありません。野球人としてだけでなく、一人の人として生きて欲しいと願っています。

 暗く騒然とした世の中で、燦然と輝くキラ星のように、躍動しているShouheiOotaniの姿は、まさに現実、この現実に押し潰されずに、これからを生きていくことでしょう。この人の《態度》、《生きる姿勢》の良さに、驚かされ続けております。来季の活躍を願っています。

(写真は、ウイキペディアによる「Dodgersのチームロゴ」、生まれ育った地の「JR水沢駅」の風鈴です)

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