へそ曲がり

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正月に「お雑煮」を、土用の丑の日には「鰻」を、年の瀬には「蕎麦」を、日本人は食べて来たのですが、これもそんな古い習慣ではなさそうです。12月24日、降誕節の前日に「チキン」と「ケーキ」を食べる様に、いつの頃からか、そうなりました。戦前には、そんな誰もがの食習慣はなかったのですが、アメリカ軍が進駐して来てから、アメリカ文化に感化されて、そうなったのでしょうか。

アメリカでは、この時期に、「七面鳥」をグリルして食べていたのだそうですが、調理が面倒なのと高価ですし、手に入りにくいので、手っ取り早く、「代用品」の〈鶏肉〉、それも、骨つきの足の部分を食べ始めたのです。ケンタッキーフライドチキンが始めたのだそうで、もう日本では、この食習慣も〈日本的〉になってしてしまいました。

「デコレーションケーキ」は、もう少し古く 1910年に、不二家が売り始めたのだそうです。真っ赤な鼻のトナカイのソリに乗った、白いひげで真っ赤な服を着て、袋をかついだ「サンタ」が登場したのはコカコーラが、1930年代に宣伝したことによるそうです。

北欧や西欧、アメリカの文化が、戦後、怒涛の様に、〈商業主義〉の波に乗って、日本に入り込んできたわけです。私の恩師は、アメリカ人ですが、キリストの誕生は、秋の10月頃であって、この時期になったのは、古代の王・ニムロデという指導者の誕生日や、バビロンの祝日、冬至の祭りに合わせた祭り事だと言って、根拠希薄で、特別に祝うことはしませんでした。

サンタクロースが主役になって、大騒ぎする様なものは、異質なのでしょう。子どもの頃、12月25日の朝になると、枕元に、ギフトが置かれていて、大喜びをしたことがありました。あの父とサンタのギフトと、あまり似合わないのが、ミスマッチで面白かったのです。

私も、この恩師に倣って、この文化に馴染めないまま、今があります。私にとっては、毎日が「降誕節」であって、そう言った日常が定着してしまっているのです。ラジオのコメンテーターまでもが、〈Merry〉と祝い言葉を使っていて、ちょっと不思議でなりませんでした。これって口先のことではなく、心の中の出来事なのですから。少々〈へそ曲がり〉かも知れませんね。

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私たちの国の高校野球は、強豪校の多くが、有能な選手を国内留学させて、甲子園に出場を目指す様です。授業料免除、奨学金支給もあるそうです。すでに小学生の頃から、目覚ましく活躍する野球少年に目を向けているのです。勝つため、つまり〈甲子園出場〉と言った大目的のために、青田買いをしているのです。そんな中、チーム全員が秋田県出身で構成する秋田の県立金足農業高校が、2018年の甲子園で大活躍していました。

出場校が、ほとんど私立の中、県立高校が高校選手権大会で、準優勝したのは快挙でした。野球界だけではなく、柔道でも、高校進学のための〈国内留学〉があって、一人の高校生が、私たちが住んでいる街の柔道の名門校に入学しました。時々、私たちの事務所に顔を見せてくれました。

二十代の前半に、私は左腕を骨折をし、住んでいた街の〈名倉堂〉と言う柔道整復院で診てもらいました。複雑骨折で、この方の手に負えないで、三つ先のJR駅の近くで開院されている、この方のお父上の所に行く様に言われたのです。

レントゲンを撮って、治療していただき、副木を当てられて、だいぶ通院しました。骨は繋がったのですが、〈くの字〉に曲がった腕が伸びませんでした。『甲州増富の温泉がいい!』と言われて湯治に出かけたりしたのです。ある時、時を見計らっていた父先生が、『エイッ!』と掛声をかけて伸ばして、それ以来、冬場にも痛みなしで半世紀になります。

あの高校生は、柔道界では、オリンピックに行ったりの活躍はできなかったのですが、お父上と同じ柔道整復師の資格を、3年の学びをして取得しました。その資格をとった彼が、ふと私の家にやって来たのです。そして『お世話になったお礼に、マッサージをさせてください!』と言って、最初の施術をしてくれたのです。

そんな律儀な彼に感謝して、喜んで受けたのです。すごく世話を焼かされた方がいても、そんな感謝をされることがないことが多い中、その気持ちが、とても嬉しかったのです。音沙汰がなくなって、もうだいぶ時が経ちます。先日、冬場に、十数年来起こる腰痛で難儀している中、長男が家内の通院の助けで来てくれた時、電話の向こう側の嫁御の勧めに従って、整形外科に連れて行ってもらいました。

『手術!』とは言われずに、温湿布、電子治療を受けたのですが、今は、家内が近くのドラッグストアに、一人で買いに行ってくれた〈ホッカイロ〉を腰に当てています。まあ、この腰痛と仲良くして行くことにしています。運動や重労働もしましたので、医師の診断は〈老の一部〉だそうです。オイオイ "泣いたりしていませんので、ご安心のほどを。

(子どもの頃の漫画の「イガグリくん」です)

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