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首相官邸が、災害時の「非常持ち出し品」のリストをまとめています。
* 飲料水、食料品(カップ麺、缶詰、ビスケット、チョコレートなど)
* 貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など)
* 救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など)
* ヘルメット、防災ずきん、マスク、軍手
* 懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、携帯電話の充電器
* 衣類、下着、毛布、タオル
* 洗面用具、使い捨てカイロ、ウェットティッシュ、携帯トイレ
* ※乳児のいるご家庭は、ミルク・紙おむつ・ほ乳びんなども用意しておきましょう。
ところが、ユダヤ人は、子どもたちに、『お前が家を焼かれて、財産を奪われたとき、持って逃げるものは?』と言う問いに、次の様に教えるのだそうです。それは無形、無臭、無色なものだと言う条件付きです。その答えは「知性」だそうです。
どうも、「本」、良書との出会いや携行を言っている様です。親が子に処世の術を教える時に、日本の内閣府が見落としていることに、注目させている様です。人は、物、パンだけで生きているのではなく、思想とか、精神とか、知性とかで生きるのであって、子どもたちの物を得ようとの思いから、目を転じさせようとしているわけです。
件の災害持ち出し袋の中に、「本」がないのは残念でなりません。物質主義が横行し、物で氾濫した世の中で、物よりも大切なものがあることを、ユダヤ人は教えているわけです。例えば、『旅先で、故郷の人が知らない本に出合ったら、必ず持ち帰れ!』、『貧しい時に売るのは金、宝石、家、土地。しかし本は売ってはならない!』、『本は敵にも貸さなければならない。さもないと知識の敵となる!』などの格言が残っているそうです。
父は、小学生の私に、『辞書をひいて本を読め!』と、よく言いました。現代の日本人は、本を読まないのだそうです。スマホの影響だけではなく、知識欲が衰退しているに違いありません。批判や批評能力は相当なものを持ちながら、知性的な貧困が見られるのです。避難所で、電気も何もないなら、蛍雪や月明かりでも、本を読むことはできます。
『書を捨てよ!』と主張した寺山修司は、口にすることとは裏腹に、驚くほどの読書量があったのを見落としてはなりません。二十一世紀の若者に、『書を懐に旅に出よ!』と言いたい、いえ、旅には出なくとも老人にもです。そんな思いの2019年の年の暮れです。
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