望みを持って


私たちの家の北に「男体山」、東に「筑波山」、西に「富士山」が見えます。真冬の晴天の朝、凍てつく様な茜色になった筑波山方面から陽が昇って、なんとも言えない荘厳さを見せてくれます。夕陽を背にした富士山を遠くに見て、懐かしさを覚えてしまいます。残念ながら、建物に邪魔されて、富士山は頂上付近しか見えません。南は、関東平野が広がっています。

曇りの日には、三方向に山はありながらも、姿が隠れてしまって、ちょっと寂しい思いをしております。駅から、本数は少ないのですが、南に行く特急電車に乗ると、乗り換えなしで湘南に行き来することができます。また、ここから小山に出ると、茨城県の水戸や磐城の海に行くJR線があって、無理すれば日帰りが可能です。その他は山また山ですが、岩魚や山女などを焼いて、蕎麦でも食べられそうです。

ちょっと環境変化が欲しいのですが、願いを思いの中に秘めているのが一番いいのだそうです。決して閉塞状態にあるのではなく、〈ブラ旅〉を、ブラブラしながらしてみたいだけなのです。家内は、『温泉でも行って見たら!』と言ってくれますが、それとて〈ヒトリボッチ温泉〉の気分にはなりません。

フランクルが著した「夜と霧」に、収容所の中で、明日への希望をつなぎながら、今日を望みを持って生きている人たちが、過酷な中を生き延びたと書いてあります。『あの人と結婚しよう!』とか、『こんな仕事をしたい!』とか、『あそこに旅をしてみたい!』とか、今日の苦しみの中で、明日や来月や来年のことを考えることがいいと言ってるのです。

冬枯れの奥深い街に住んでいますと、おのずと海が恋しくなってしまいます。潮騒を聞いたり、潮風に当たってみたくなるのです。サザエの壺焼きなんかを食べてみたら、素晴らしいのですが。家内にも、『よくなったら一緒に・・・』と、口癖の様に言ってしまいますが、言い過ぎると重荷になってしまうでしょうか。

今は、孫たちがやって来るのを楽しみにしています。それで今日、家内は、思い立って、散髪に行ったのです。独身時代の彼女は身だしなみで、一週間に一度は、美容院通いをしていたそうで、後は両親に給料を袋ごと渡していたそうです。夏に、近所の美容室に行ったのですが、今回は高いので、理容室に行くと言って、駅前に出かけて行きました。綺麗にして、子どもたちや孫たちを迎えたいのでしょう。

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