学校行事の中で、どなたも懐かしく思い出すのは、「遠足」、「林間学校」、「臨海学校」、「修学旅行」でしょうか。その中でも圧巻は「修学旅行」です。東京で小中高と学んだ私は、小学校は「日光」、中学は「京都・奈良」、高校は「北海道」に出掛けました。
教室を出て、外に出掛けるという、日常性から離れられたことが、よかったに違いないのです。小学校での日光行きは、今でしたら観光バスで行くのでしょうか、私達の時代は、「列車」に乗って出掛けたのです。日光駅からバスで通った「いろは坂」の曲がり角の印象は、強烈でした。
巡った「東照宮」、「中禅寺湖」などが、今でも思い出されるのです。一番驚かされたのは「華厳の滝」でした。その97mもの高さに、11歳の私は圧倒されてしまったのです。狭い日本に、こんな〈落差〉のある滝があるというのも、不思議なものです。
実は、私は、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイの3国の国境にある「イグアスの滝」も、アメリカとカナダの国境にある「ナイアガラの滝」も、行って見たことがあります。その規模からするなら「華厳の滝」は、この両者にかないませんが、「落差」はこれらに優っているのです。
今週の日曜日に、私が滞在している家に、17人の家族や友人たちが集まって、集いを持ち、《タコライス》と呼んで、わが家で、ちょっと特別な時に食べてきた食事を、子どもたちのリクエストで共に調理しました。「和気藹々」、《ワキワイワイ》な感じがして、実に賑やかな時でした。
ところが昨晩は、家内は入院先の病院、昼前に娘たち家族が帰って行ってしまい、一人というより、「独り」になってしまったのです。その〈落差〉は、この街の北にある「華厳の滝」に比べられないほど、大きい、いえ、「深い」のを感じたのです。
『ジイジ、コーヒー飲む?』と毎朝聞いてくれて、淹れてくれた孫たちが、もういないのです。そうしましたら、友人が、『夕食を一緒にしませんか!』と、電話で誘ってくださったのです。もう二つ返事で、『はーい!』と言ってしまいました。腕を怪我しているのに、次女が使わせていただいた車を、雨の中を取りに来られて、お宅までお連れくださったのです。
実に美味しい、奥様お手製の「オムレツ」をご馳走になりました。次兄が差し入れしてくれて、お裾分けした「沢庵とラッキョ」が、テーブルに載っていました。味も語らいも、その〈落差〉を縮めてくださったのです。アイスクリームもいただきました。その配慮が、憎いほど嬉しい夕べでした。隣街にいる家内の感じている〈落差〉を縮めるため、会えても会えなくても、面会に励むことにします。
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