2025年の「戦争と平和」について

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 『話せば分かる!』、犬養毅首相が、青年将校に銃を向けられた時、そう言いました。銃器によってではなく、対話を提案したのです。血気にはやる昭和革命の実行者たちは、その提案を受け入れませんでした。1932年(昭和7年)5月15日の晴れた日のこと、銃殺されたのです。

 争いを解決するために、話し合いは、人間だからできることなのです。時あたかも、ロシアとウクライナとの間で、戦争状態にある最中、アメリカのトランプ大統領による提案が、この「対話」でした。16日に、アラスカで行われ、日本時間の午前8時前に終了したと、ニュースが伝えていました。

 人類史上起こった戦いは、もし話し合いができる冷静さが、双方にあったら避けられたに違いありません。ですが、話し合いをしないのです。どうして人も国も争うのでしょうか。人類最初の争いは、兄弟間で始まりました。創世記4章の初めに、その様子が記されてあります。

 アダムとイブの子のカインとアロンとの間ででした。兄のカインは土を耕しタネを蒔き、作物を養い育てました。弟のアベルは、牧夫として牧場で羊を飼っていました。時期が来て、二人とも、その収穫物を、主の前に持ってきて、その収穫の産物を、主なる神に感謝を捧げたのです。

 その捧げ物には違いが、いえ捧げる心に違いがありました。主は、羊の中の最良のものを、自分自身で持ってきたアベルと、彼の捧げ物とに目を留められた、と聖書は記しています。それとは反対に、カインと彼の捧げ物には目を止められなかったのです。そのことにカインは怒り、顔を伏せます。

 そんなカインに、『なぜ、あなたは憤っているのか。なぜ顔を伏せているのか。あなたが正しく行ったのであれば、受け入れられる。ただし、あなたが正しく行っていないのなら罪は戸口で待ち伏せして、あなたを恋い慕っている。』と主が言われたのです。と同時に、『あなたはそれを治めるべきである。』と告げたのです。

 心を治めえなかったカインは、野にアベルを誘い出して、そこで、『カインは襲いかかり、彼を殺した。』のです。神さまは、分け隔てをしたのではありません。偏見があったのではないのです。心の深みをご存知で、それを精査されただけでした。カインは、神さまが分け隔てをしたと思い、神に訴え掛けずに、弟のせいにし、殺意に駆られたのです。

 神さまは、人の心をご覧になられて、そこに潜んでいる思いや動機をご存知なのです。兄カインの弟観が正しくなかったのです。弟の個性、考え方、やり方、いえ基本的にあるのは《神観》なのですが、それが正しくなかったのでしょう。カインは、神さまを、不公正だと断じていたのです。こんな弟を造った神、心を寄せている神への苦味なのです。

 歴史に現れた独裁者たちの心に潜んでいたのは、そんなカインのような思いだったのでしょうか。『こんな国を!』、『こんな民族を!』、『こんな指導者を!』を祝福する神への毒なのではないでしょうか。
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 この時季、ブドウが美味しいのです。個人的には、今では店頭に並んでいない、「ネオマス」という種類のブドウが好きでした。家に、父の知人から、この時季に送られてきた「甲州ブドウ」は、日本で古くから栽培されてきた種類で、甘過ぎず、瑞々しく日本的な味覚がして、これも大好きでした。

 兄たちに言って、庭に、寝台を出してこさせ、それに父は、私を座らせたのです。私が葡萄を食べて、皮をポイッと放ると、父が兄たちに、『皮を拾えっ!』と命じると、兄たちは、それを拾わされたのだと、よく言っていました。私は、父の「ベニヤミン」だったのです。特愛、溺愛の子だったのです。あのヤコブの12人の息子たちの仕舞いっ子が、このベニヤミンでした。

 それなのに、陰で、兄たちに、私は小突かれたり、イジワルされなかったのが、これも不思議でならないのです。兄たちには、父が怖かったのでしょうね。兄たち(弟も含めて)は、一仕事を仕上げ、悠悠自適な老後を過ごしているのですが、この私は、みんな中途半端ですませてしまって、いまだに借家住まいでいるのです。まあいいかの今なのです。

 それでも、兄弟間に争いも不和もなく、それぞれに気遣いながら生きているのです。やはり要(かなめ)になるものを、両親が、兄弟間とそれぞれの内に、据えていてくれたからなのでしょうか。戦国の武将たちは、兄弟も相争って、修羅を演じたのに、私たち兄弟は睦まじく過ごしているのです。

 母の内に宿った信仰、創造者の神さま、《平和の神》でいらっしゃるイエスさまを畏怖して生きる生き方をしていて、それを見て育ったから、その信仰の種が蒔かれたのでしょうか。これが、「選び」に違いありません。平和を願いながら、それが実現しないのは、《平和の神》の不在が、最も基本的な理由なのでしょうか。

(“いらすとや”の「ハト」です)

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